冷却塔(クーリングタワー)内を見ると、「藻」や「スライム」「スケール」などがこびりつき、見た目にも汚いと感じることが多いのではないでしょうか。
冷却塔(クーリングタワー)内部には多くの水があり、常に保湿された状態なので「藻」などには最適の生活空間になっています。
そのため、定期的に清掃しなければ「レジオネラ属菌」を培養してしまうことになり、結果的に健康被害も誘発してしまいます。
しかし、毎日清掃するには労力も時間も必要になります。
そのため、薬品を使用して手軽に清掃できる方法を考えましょう。
本記事では、「冷却塔(クーリングタワー)の洗浄剤の選び方」を中心にお伝えし、おすすめできる洗浄剤を価格相場や企業名を合わせて紹介します。
冷却塔(クーリングタワー)の洗浄剤とは
冷却塔(クーリングタワー)の内部には、多くの水があります。
冷却塔(クーリングタワー)を使用している企業では、「藻」や「スライム」など、汚いと感じることが多いのではないでしょうか。
見た目にも汚いと感じるだけでなく、放置するとレジオネラ属菌に汚染される危険性があります。
レジオネラ属菌は、人に感染するとレジオネラ症を発症し、最悪の場合には死に至る危険な病気です。
そのため、冷却塔(クーリングタワー)内部は常に清潔に保つ必要があります。
「藻」や「スライム」を除去するだけでなく、レジオネラ属菌に対する対処として「洗浄剤」を使用します。
洗浄剤以外にも、工業的に洗浄を依頼するなど、多くの対策があります。
しかし、「洗浄剤」を使用する方法は、従業員だけでも簡単に行える清掃方法ですので、多くの企業が取り入れているでしょう。
ただ、一口に「洗浄剤」といえど、メーカーにより沢山の洗浄剤が販売されているため、どれを選べばよいかわからない場合もあります。
以下には、洗浄剤を販売しているメーカーの価格相場をまとめ、おすすめの洗浄剤の選び方を紹介します。
冷却塔(クーリングタワー)の洗浄剤の価格相場
冷却塔(クーリングタワー)に使用できる洗浄剤は、多くのメーカーから販売されています。
以下には、主な企業から販売されている洗浄剤を取り上げ、「価格」を中心にまとめます。
冷却塔(クーリングタワー)の洗浄に効果が期待できるものを中心にまとめましたので、参考にしてください。
下記の4つの製品の容量は全て20kgです。
企業 | 商品 | 価格 |
---|---|---|
栗田工業 | スライム洗浄剤ニュークリーンスターHP | 11,900円(税別) |
エスコ | スケール除去【ニュークリンスターHP】 | 17,800円(税別) |
ショーワ | スケール洗浄剤ショウクリーナニューSS-2 | 11,900円(税別) |
和協産業 | スカラストCシリカ・カルシウム系硬質スケール除去剤 | 31,900円(税別) |
「洗浄剤」の価格相場は、10,000円から30,000円程度です。
多くの企業では、約15,000円ほどで購入できるよう価格設定されているようです。
しかし、自社の冷却塔(クーリングタワー)の大きさにより、適切な洗浄剤量がありますので、価格相場は参考程度にしておき、実際の使用量に合わせて料金を考えてみると良いでしょう。
上記に取り上げた洗浄剤以外にも、5,000円程度で購入できる洗浄剤もあります。
価格が低い洗浄剤は、「効果が薄い」わけではありません。
しかし、使用できる水量などに対応していないことが多く、工業用の冷却塔(クーリングタワー)に不向きの可能性は高くなります。
家庭用の水道周りなどに使用するものと間違えないよう、冷却塔(クーリングタワー)用の洗浄剤を購入していただければ良いでしょう。
冷却塔(クーリングタワー)の洗浄剤の選び方(選定基準)
洗浄剤は種類が多く、どれを選べばよいかわからない人も多いのではないでしょうか。
中には、メーカーからおすすめされただけの洗浄剤を使っている企業もあるかもしれません。
営業目的で、メーカーから勧められた洗浄剤が悪いわけではありません。
しかし、「洗浄剤の選び方」を知った上で、他の洗浄剤とも比較し、使用している冷却塔(クーリングタワー)に適切な洗浄剤を選ぶのが良いでしょう。
以下には、3つの選び方基準を紹介します。
最適な洗浄剤を選べるよう、参考にしてみてください。
選び方1.浸透速度
冷却塔(クーリングタワー)内部にある「冷却水」などを洗浄するには、「時間」が必要になります。
「浸透速度」を考えておかなければ、必要以上に冷却塔(クーリングタワー)の動作を停止させなければならないことになります。一般的に、「浸透速度」は速いほうが高質な洗浄剤とされます。
浸透速度を考慮しない場合、洗浄速度に5時間以上の差が生じる場合もあります。
そのため、月1回の洗浄を行っている場合、年間では60時間以上、冷却塔(クーリングタワー)を静止している場合もあります。
必要に応じて、「浸透速度」には注意しておくようにしましょう。
選び方2.レジオネラ属菌に対応
レジオネラ属菌は、レジオネラ症を発症する原因になる菌です。
「藻」や「スライム」に付着し、エアロゾル(水しぶき)に含まれます。
呼吸によりエアロゾルを吸い込むことで、人間に感染します。見た目では発症を防ぐのは困難でしょう。
そのため、日々の清掃でレジオネラ属菌を殺菌する必要があります。
「洗浄剤」の中にはレジオネラ属菌に対応していないものもあり、「藻」や「スライム」を除去するだけの機能を有したものがあります。
しかし、見た目の綺麗さだけでは菌類であるレジオネラ属菌を殺菌できていないため、脅威になる可能性があります。
「洗浄剤」を選ぶには、レジオネラ属菌に対応しているものを選べば、人体への影響を最小限にできるようになります。
選び方3.洗浄力
「洗浄剤」を使用しているのに、「藻」や「スライム」が除去できないのでは話になりません。
インターネットの口コミの中には、「洗浄剤を使用しても綺麗にならない」と述べているものもあり、実際に冷却塔(クーリングタワー)を清掃すれば「藻」や「スライム」はなかなか取れないと感じる人もいるのではないでしょうか。
「洗浄力」は、「洗浄剤」を選ぶうえで最も基本の選び方です。
現在使用している「洗浄剤」と比較するだけでなく、インターネットで購入する場合には口コミなども参考にして「洗浄力」を意識しておく方がよいでしょう。
また、「洗浄力」が高い洗浄剤の中には、レジオネラ属菌に対応していないものもあります。
そのため、洗浄剤以外に「レジオネラ属菌洗浄剤」が必要になる場合がありますので、注意しておくようにしましょう。
冷却塔(クーリングタワー)おすすめの洗浄剤 3選
具体的に、どんな「洗浄剤」が良いか紹介します。
以下に述べる「洗浄剤」は、一般的に冷却塔(クーリングタワー)に使用できるものを選んでいます。
そのため、家庭用の排水溝などに使用すると、洗浄力が強すぎる場合があります。工業的に使用している冷却塔(クーリングタワー)や、銭湯など水関連を使用する頻度が多い企業向けの製品です。
1.【栗田工業】スライム洗浄剤 ニュークリーンスターHP
「洗浄速度」が速く、冷却水系の水質も安定させる洗浄剤です。
作業効率が良く、冷却塔(クーリングタワー)を停止させる時間が短くて済みます。
「時間が無い」「さっさと作業を終わらせたい」と考える場合、使用しやすい薬品でしょう。
しかし、強い剥離力があるため、一般家庭に使用すると「色が落ちる」などの原因になります。工業用の冷却塔(クーリングタワー)など、強度が高いものに使用します。
泥状のスケールやスライムなど、粘着性が強い物質に効果が期待できます。
薬品の性質は、弱酸性。肌と同じ性質ですので、手荒れの心配が少なく排水時に中和する必要がありません。製品の価格も手ごろと言える料金で、多くの企業が取り入れている製品でしょう。
2.【ショーワ】スケール洗浄剤 ショウクリーナニューSS-2
中性タイプの洗浄剤で、排水時の中和処理が必要ありません。
速い浸透速度で、洗浄作業を手早く完了できる洗浄剤です。時間が無いときにおすすめの製品です。
こちらも強い剥離力があるため、工業用の冷却塔(クーリングタワー)などに使用します。
特に、空調冷却水系のスライムや軟質スケールに効果を発揮し、冷却水の質を保ちます。
しかし、栗田工業のニュークリーンスターHPと比較すると、製品価格が高めに設定されています。
これは、ショーワのショウクリーナニューSS-2のほうが強い剥離力があるためで、より強力な粘着系スライム等を除去しやすいためです。
しかし、冷却塔(クーリングタワー)の大きさなどを考慮すれば「あまり差が無い」と感じる人も多いようで、好みに合わせて選択すれば良いのではないでしょうか。
3.【タスコ】レジオネラ属菌殺菌洗浄剤
タスコの「レジオネラ属菌殺菌洗浄剤」は、発泡性がないため冷却塔(クーリングタワー)を運転しながら殺菌洗浄ができる製品です。
冷却水回路全体の保有水量2%から3%を冷却塔(クーリングタワー)に投入するだけ。
手軽に洗浄できますが、スケールやスライムに効果が期待できるものではありません。
上記で述べた洗浄剤に合わせ、「レジオネラ属菌」を徹底的に除去したい企業におすすめです。
また、洗浄を業務委託している企業など、藻やスライムは企業に依頼していたとしても、日々の殺菌に使用できる製品です。
殺菌力が強いため、製品価格は17,900(税別)です。(容量20kg)
殺菌作用が少ない洗浄剤と比較すると、やや高めに設定されています。
しかし、冷却塔(クーリングタワー)で最も脅威であるレジオネラ属菌を除去するためには、定期的に殺菌する必要があるでしょう。
最も手軽に殺菌できる薬品として、本製品はおすすめできます。
まとめ
冷却塔(クーリングタワー)の清掃には、手間暇をかけて「人工的に清掃する方法」と薬品を使用して「手軽に清掃する方法」があります。
本記事では、「薬品を使用する」に焦点をあて、「洗浄剤の選び方」を述べてきました。
本記事で紹介した製品だけでなく、一般家庭にも使用できる製品も合わせれば「洗浄剤」は無数に存在すると言っても過言ではありません。
しかし、本記事でおすすめするのは藻やスライム、スケールなどを除去するだけでなく「レジオネラ属菌」を殺菌するための洗浄剤です。
実は、藻やスライムを除去するための「洗浄力」と、レジオネラ属菌を殺菌するための「殺菌力」は1つの製品だけで完璧にできるものではありません。
そのため、「洗浄剤」と「殺菌剤」の2種類を使用して、定期的に洗浄すると良いでしょう。
そのためには、「洗浄速度」に焦点をあて、簡単に洗浄できる「洗浄剤」を選びつつ「レジオネラ属菌殺菌剤」も必要となります。