冷却塔の設計における能力線図の役割を徹底解説

空調設備を設置したり、入れ換えたりする場合、冷却塔(クーリングタワー)が重要なパーツになります。
冷却塔(クーリングタワー)は、冷却水を気化熱を利用して冷やす装置です。

このように冷却塔(クーリングタワー)を適切に設置して運用していかなければ、空調設備はうまく機能することができません。

その意味で、冷却塔(クーリングタワー)の性能を計り、運用においてもその能力が十分に活きているのかを監視していく必要があります。
このように、空調設備の冷却塔(クーリングタワー)の能力の状況を表すものが能力線図と言われるものです。

しかし、専門家でない方の場合には、この能力線図そのものがどのようなものかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

ここでは、冷却塔(クーリングタワー)の能力線図についてわかりやすくご紹介します。

冷却塔(クーリングタワー)の能力線図とは

空調設備を設置するような場合、個人の自宅などではエアコンを思い起こされると思います。
室内の実際に暖かい空気や冷たい空気を送り出す装置とは別に部屋の外に室外機が置かれ、そこで冷たい空気や暖かい空気を作り出して室内機を通じて送り出しているのはご存じの方は多いと思います。

この室内機や室外機にあたるものが、ビルや大型の建物の場合には空調設備になります。
そして、空調設備における冷房で室内の暖まった空気を冷却して冷たい空気を送り出すのが冷却塔(クーリングタワー)や冷凍機などの装置なのです。しかし、冷凍機が連続して冷水を作り出すためには、冷却塔で冷やした冷却水が必要です。

したがって、冷却塔(クーリングタワー)が適切に設計されて設置されていなければ、ビルや大型建物の室内の気温は快適な状況に保つことができません。

この冷却塔(クーリングタワー)の冷却能力がどのくらいの性能を持っているのかを示しているのが能力線図といわれるものです。能力が低いと室内は冷やすことができませんし、過大な能力の場合には室内は冷えすぎることになってしまいますし、運用コストも大きくなってしまいます。

ビルや大形建物を冷房するためにはどの程度の水温、水量でどのような風量を送り出すのかを調べた上で、冷却塔(クーリングタワー)の必要な能力をこの能力線図で確認することが大切なのです。

冷却塔の導入なら空研工業

冷却塔(クーリングタワー)の能力線図の役割

空調設備における冷却塔(クーリングタワー)を設置するには、それなりのコストがかかります。
そのため、設計時で冷却塔(クーリングタワー)の冷却能力を実際に必要な能力を持っているか確認した上でコスト計算をする必要があるのです。

一般家庭のエアコンなどでも、価格の大半は室外機のコストだといわれています。
その意味でコストのかからない設計は重要になるのです。

実際に大きな冷却能力が必要な場合には大きな冷却塔(クーリングタワー)が必要になりますし、小さな能力でいい場合には小さな冷却塔(クーリングタワー)ですみます。
冷却塔(クーリングタワー)のコストは、サイズが小さいほど安く済むため、冷却塔(クーリングタワー)の能力を適正なサイズにすることで設置費用や運用費用を抑えることができるのです。

すなわち、設置するビルや大型建物においてどの程度の冷却能力が必要であるかを計算した上で、それを実現できる冷却塔(クーリングタワー)を設計する必要があります。
部屋の冷房能力は部屋の大きさに合わせた風量とそのコントロールできる空気の温度によって決まってきます。

それらを比較するために、冷却塔(クーリングタワー)には能力線図というものがあるのです。
室内の空気の温度を実現する冷却塔(クーリングタワー)の能力を図に表したのが能力線図で、これをもとに適切な冷却塔(クーリングタワー)を設計することが可能になるのです。

冷却塔(クーリングタワー)の原理と冷却方式による冷却能力の差

冷却塔(クーリングタワー)は気化熱を利用して冷却をおこなう原理を元に仕組みが作られています。
気化熱を利用するというのは、水が温かい空気に触れて蒸発(気化)する際にその水の温度を下げる作用を利用することをいっています。

この冷却塔(クーリングタワー)のサイズによる能力は、密閉式の場合と開放式の場合で若干違ってきます。
密閉式は水を管に流してその管を通して間接的に空気に触れるようにしますが、開放式の場合には外気と水を散布したシート上で直接的に触れるようにしています。

そのため、基本的には、外気が直接水を散布したシートに触れる開放式のほうが冷却能力は高くなり、冷却塔(クーリングタワー)のサイズは小さくでき、設置コストは安くすみます。

ただし、外気に直接水が触れるため、汚れやすく、周辺の装置のメンテナンスの頻度を多くする必要があり、運用コストがかかります。

逆に密閉式の場合は、水は銅管コイルなどの管に流すことで間接的に空気に触れる構造になっています。
そのため、冷却能力は比較的小さくなることから、冷却塔(クーリングタワー)のサイズも大きくなる傾向にあり、設置コストは高くなります。

ただし、銅管コイルを通して水と触れることから、水は汚れにくく、周辺機器のメンテナンス頻度は少なくなり、運用コストは安くすむ特徴があります。

冷却塔(クーリングタワー)の能力はどう測定するのか

空調設備における冷却塔(クーリングタワー)の能力は、冷凍機から戻ってくる入口温度と、冷却塔から水を送り出す際の出口温度より測定されます。
すなわち、送り出される水の温度が同じとすれば、入口と出口の温度差が大きいほどその能力は高いといえるのです。

ただし、外気湿球温度の状況によっては、一概に能力が高いと言えません。

この原理を利用して能力線図は縦軸に出口水温、横軸に外気湿球温度、そのなかに線図が描かれ能力がわかるようになっています。

冷却塔(クーリングタワー)の能力線図とはどのようなものか

この出口水温と外気湿球温度をグラフに表したものが能力線図或いは性能線図といわれるものなのです。

基本的に密閉式の冷却塔(クーリングタワー)の性能線図は縦軸に出口の水温、横軸に外気湿球温度をとります。
入り口から入った水の温度が出口でどの程度下がるかによって、気化熱を利用した冷却能力がわかります。

その差が大きいほど気化熱として放出される水のエネルギーが大きく、冷却能力が高いことを表しているからです。

ただし、冷却塔(クーリングタワー)の能力を図る場合には次の2つの関係が重要になります。設計の際には、以下の2つの温度差を見ることになります。

  • アプローチ 冷却塔(クーリングタワー)出口水温-外気湿球温度
  • レンジ   冷却塔(クーリングタワー)入口水温-出口水温

湿球温度というのは、簡単にいえば、空気に蒸気が混ざった状態の温度をいいます。
冷却塔(クーリングタワー)の場合には、外気の空気の中で水を蒸発させることによって冷却しますので、その外気の空気の温度をいいます。

蒸発に必要な気化熱はすべて水から奪われるため、空気の温度は上がるので、出口水温と冷却塔(クーリングタワー)を通った空気の湿球温度の差も重要になるのです。
ただ、同じ冷却塔(クーリングタワー)にも開放式と密閉式で能力線図のグラフは若干違ってきます。

開放式の能力線図

想定される温まった冷却水を冷やすためには、冷却塔(クーリングタワー)でシートに散布した水の温度とその結果、温められた水の温度差が冷却能力になります。

なお、開放型の場合には、水と直接接触するために取り入れた外気の温度を外気湿球温度といいます。

密閉式の能力線図

密閉式の場合には、管内を流れる冷却水の温度が間接的に外気と触れ合った結果、水温が出口でどの程度上がったかによって冷却能力がわかるようになっています。

冷却塔(クーリングタワー)の能力線図の使用上の注意点

冷却塔(クーリングタワー)の能力線図と実際の必要な能力を計算するには、難しい計算が必要になりますが、簡単にその使い方と注意点について見てみます。

まず、冷却塔(クーリングタワー)において実際の能力線図では標準仕様がどうなっているのかを見てみましょう。
標準型の冷却塔(クーリングタワー)仕様は次のようになっています。

  • 外気湿球温度(WB)   27℃
  • 循環水入口温度tw1  37℃
  • 循環水出口温度tw2  32℃
  • 循環水量     13ℓ/min/RT

すなわち、外気湿球温度が27度で冷却塔(クーリングタワー)入口での水温が37度の場合、水の量が毎分13㍑の場合には、出口での水温は32度になるように設計されているのです。
この標準仕様を元に能力線図は描かれています。

冷却水温度を下げるために冷却塔を循環する冷却水は、外気湿球温度(WB)との差に入口水温と10℃分の熱エネルギーを使用していることを表しており、実際の湿球温度をどの程度にするかで、必要な能力は変わってくるといえます。

冷却塔(クーリングタワー)の能力線図を利用する際の注意点

この冷却塔(クーリングタワー)の仕様には次のような特性があります。

  • 出口水温は外気湿球温度(WB)以下に下げられない
  • 送り込まれる空気量が多いほど、冷却塔(クーリングタワー)のサイズは小さくできる(送風機動力は増加)
  • 「冷却塔(クーリングタワー)出口水温-外気湿球温度」(アプローチ)が大きいほど冷却塔(クーリングタワー)を小さくできる
  • 「冷却塔(クーリングタワー)入口水温-出口水温」(レンジ)が小さいほど冷却塔(クーリングタワー)を小さくできる
  • 冷却熱量が一定の時には、水量を少なくしてレンジを大きくするほど冷却塔(クーリングタワー)は小さくできる

これらの特徴を計算に入れた上で、能力線図を利用して冷却塔(クーリングタワー)を設計する必要があるのです。
冷却塔(クーリングタワー)を小さくすることで、建設コストを抑えることができます。

しかし、能力線図を利用して設計する際には、上記のようにアプローチ、レンジ、WBの3つの要素によって冷却塔(クーリングタワー)の大きさが決まるため、それぞれの値をどの程度になるか計算することで、建設コストに大きな影響を与えるといえるのです。

冷却塔(クーリングタワー)の設計では3要素が大切

したがって、このアプローチ、レンジ、外気湿球温度(WB)の値をグラフで表した冷却塔(クーリングタワー)の能力線図は空調設備の導入設計の際のコスト計算をする上において重要になります。

このように、能力線図は、

  • アプローチ 冷却塔(クーリングタワー)出口水温-外気湿球温度
  • レンジ   冷却塔(クーリングタワー)入口水温-出口水温

を表す上でなくてはならないものといえ、この計算が適正な冷却塔(クーリングタワー)を設計する上で不可欠になるのです。

私たちの一般家庭でも、エアコンなどによって快適な部屋を実現しています。
この快適な部屋の温度、とくに冷房などにおいては部屋の温度を下げるためには、室内機から出てくる空気をその部屋のサイズに合わせて、出ていく温度とその風量が確保されている必要があります。

そのため、室外機のなかでは、同じように入ってくる空気を冷やすための冷却装置が入っています。
入ってくる温度と部屋の大きさに応じて室外機で気化熱により温度を下げる能力が決められています。

空調設備においても同様な設計がおこなわれていることを覚えておきましょう。

能力線図を使うためには

冷却塔(クーリングタワー)の能力を図るための能力線図を使うためには、事前に冷凍機から戻ってくる冷却水の温度によって違ってくるため、最初にその温まった冷却水の温度をどの程度下げるのかを決めておく必要があります。それに加えて、外気湿球温度(WB)をどのように設定するかが重要になります。

いずれにしても、その温度設定や具体的に能力線図から適正な冷却塔(クーリングタワー)の設計をおこなうためには複雑な計算が必要になります。
そのため、実際におこなう際には、専門の業者に相談されることをおすすめします。

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まとめ

空調設備における冷却塔(クーリングタワー)は、温められた冷却水を冷やすための装置になります。
私たちの家庭でも、エアコンなどの室外機には同じような水によって空気を冷やすための装置が入っています。

そのため、温められた冷却水をどの程度冷却する能力があるかを予測して設計する必要があり、その能力を測定するためのツールとして能力線図が使われています。

基本的には気化熱を利用する冷却塔(クーリングタワー)では、冷凍機から戻ってくる水の入口と出口での温度差と、外気湿球温度(WB)によって能力が設計されています。
この能力によって冷却塔(クーリングタワー)のサイズが決まり、コストも決まるため、設計段階で適切な能力を見極めて設計する必要があるといえます。

実際には、冷却水の水量などに適した冷却塔(クーリングタワー)を設計する必要がありますので、空研工業株式会社に気軽にご相談ください。

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