冷却塔の送風機の駆動方式とは?それぞれの特徴を解説!

冷却塔(クーリングタワー)の送風機の駆動方式について知っているという方は少ないかもしれません。
本記事では、送風機の3種類の駆動方式について解説します。

送風機の駆動方式

送風機の駆動方式には「Vベルト駆動方式」「直結型駆動方式」「ギヤ駆動方式」の3方式があります。
それぞれの方式について解説していきます。

Vベルト駆動方式

冷却塔(クーリングタワー)のほとんどがVベルト駆動方式を採用しています。
Vベルトとはゴム製のベルトのことで、モータの回転速度を減速させる役割があります。

Vベルト駆動方式の長所は、電動機が小型で軽量である点と、Vベルトとプーリが汎用品であるため交換が必要になった際に入手しやすい点です。
一方、ファンベルトの保守点検が必要であることと、伝達効率が低下することが短所となります。
また、起動時にスリップ音が発生する場合があります。

送風機からの異音についてはこちらの記事をご参照ください。

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直結型駆動方式

直結型駆動方式とは、電動機軸に翼車を直接取り付けた送風機です。
小型冷却塔(クーリングタワー)に多く採用されています。

電動機をインバータ専用電動機に変更した駆動方式のものもあり近年多く採用されています。
Vベルトやギヤなどの減速装置を必要としません。

直結型駆動方式の長所は3点あります。
それぞれ解説していきます。

  1. 長期間メンテナンスフリー
    減速装置の保守点検(オイル交換やVベルトの張り具合の調整など)が不要であるため、他の駆動方式と比較すると長期間メンテナンスフリーとなります。
    ベアリングの高寿命化も期待できます。
  2. 騒音が気にならない
    Vベルトとギヤを使用していないため、起動時のスリップ音や衝撃音が発生しません。
  3. 価格
    減速装置が必要ないためシンプルな構造となっており、その分安価になっています。

インバータ専用電動機とした場合、インバータの設置が必要である点と、電動機重量が重くなる点にご注意ください。
この場合、ベルト駆動と比較すると価格は高くなります。

ギヤ駆動方式

ギヤ駆動方式は、Vベルト駆動方式と同じくギヤがモータの回転速度を減速させて、翼車に回転を伝えています。
スリップしないため、伝達効率が良いという長所があります。
しかし、ギヤ部へのオイル供給とその設備が必要であり、起動時にギヤの衝撃音が発生してしまうという短所もあります。
価格もベルト駆動に比べると高くなります。

それぞれの駆動方式のメンテナンス

本項では上記で紹介した3つの駆動方式のメンテナンス項目についてお伝えします。
送風機は長い時間稼働する部分であるため、メンテナンスが大変重要です。
是非参考にしてみてください。

Vベルト駆動方式のメンテナンス

Vベルト駆動方式のメンテナンス項目は3つあります。
まず一つ目は、Vベルトの張力確認です。1年に4回、3か月に1回の目安で行いましょう。
テンションメーターという道具を用いて行います。

二つ目はVベルトの交換です。1年に1回(8000時間に1回)行うようにしましょう。

三つ目は電動機のオーバーホールとVプーリの交換です。オーバーホールとは機械を分解して点検・洗浄など行うメンテナンスです。
どちらも5年に1回の目安になります。

直結型駆動方式のメンテナンス

直結型駆動方式のメンテナンス項目は2つです。
インバータの交換またはオーバーホールと、電動機のオーバーホールです。
どちらも5年に1回の目安になります。

ギヤ駆動方式のメンテナンス

ギヤ駆動方式のメンテナンス項目は3つあります。
一つ目はオイルの供給です。1年に4回、3か月に1回行いましょう。

二つ目はギヤのオーバーホール、三つ目は電動機のオーバーホールです。
どちらも5年に1回の目安になります。

メンテナンスの計画を立て、時期が来たら冷却塔(クーリングタワー)メーカーまたはメンテナンス業者にメンテナンスを依頼しましょう。

まとめ

冷却塔(クーリングタワー)の送風機の駆動方式には「Vベルト駆動方式」「直結型駆動方式」「ギヤ駆動方式」の3種類がありました。

駆動装置の異常は、その発生音にて判断できます。
異常を感じたら早急にメーカーへ連絡をお願いします。

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