加熱塔とは何か?空調設備における仕組みを解説

加熱塔は大規模ビルや地域冷暖房設備などの大型空調設備の一翼を担う設備として採用されることがありますが、冷却塔と比べるとあまり知名度は高くありません。
冷却塔がクーリングタワーと呼ばれることがあるのに対し、加熱塔はヒーティングタワーと呼ばれ、主に暖房に使われます。
一般的には、冷却兼加熱塔として夏は冷房用、冬は暖房用として採用されています。

加熱塔の空調設備における位置づけや仕組み、役割などを見ていきましょう。

加熱塔(ヒーティングタワー)とは

加熱塔は、セントラル空調などの大型空調システムにおいて冷凍機(熱源機)の補機として使われるものです。

ヒーティングタワーシステムとして、水冷式チラー(冷凍機)と組み合わせることで、電気の力で冷房と暖房の両方を高効率に行うことができます。

また、冷却塔兼加熱塔タイプの加熱塔(ヒーティングタワー)が一般的です。
冷却塔(クーリングタワー)は冷房時に室内の排熱を大気中に放熱する機器です。
空気熱源システムの吸熱部に冷却塔を用いる場合、循環水の温度を下げるのではなく、温度を上昇させるために利用できるため、加熱塔つまりヒーティングタワーとして活用できます。

加熱塔(ヒーティングタワー)の役割

空気熱源ヒートポンプとしての役割は、エコで低コストな運用ができることです。

重油や灯油、ガスなどの燃料を使うことなく、空気のエネルギーを利用し、暖房や冷房、給湯に使えるので安全で省エネ・低コストです。

冷却塔を夏場は冷房のためのクーリングタワーとして、冬は暖房のための加熱塔(ヒーティングタワー)として使用すれば、設備投資も抑えることができ効率的です。

ただし、循環水温度がマイナスになる場合があるため、凍結を予防するためにエチレングリコールといった不凍液(ブライン)を注入する必要はあります。

加熱塔と冷却塔(クーリングタワー)の違いについてはこちらの記事をご参照ください。

冷却塔大学

冷却塔と加熱塔について、それぞれの役割や仕組みをご存知でしょうか。冷却塔は冷房用、加熱塔は暖房用というざっくりとしたイメ…

加熱塔(ヒーティングタワー)の仕組み

加熱塔(ヒーティングタワー)をヒートポンプとして活用すると、自然に優しくエコで省エネ化が促進されます。

ヒートポンプとは、空気中の熱を汲み上げて移動させる仕組みです。

加熱塔(ヒーティングタワー)の方式

加熱塔(ヒーティングタワー)の方式としては、フィンコイルを用いて熱交換を行う密閉型と、大気に直接接触させる開放型の2つの方式があります。ともに不凍液を使います。
従来は開放式がほとんどでしたが、夏冬のブラインの入れ替えや貯蔵のためのタンク、濃度管理等煩雑な作業が必要となるため、現在新設品は100%密閉式となっています。
密閉式の場合、ブラインの入れ替えは不要です。

密閉型は熱交換部にフィンコイルを使っています。
また、冬期には除霜対策を行わなくてはなりません。
除霜対策のために、あらかじめ温めておいたブラインを貯蔵するタンクや複雑な配管工事が必要となり、施工期間がかかり、コストが上がる要因となります。

密閉型の加熱塔では、除霜時に加熱機能機能の一部が停止し、加熱能力が小さくなるのも弱点です。
加熱能力の不足を補うため、加熱塔の予備機を設置することも少なくありません。

空研工業のヒーティングタワーは、除霜のためのデフロストシステムを一体化しているため、上記のような厄介な心配は不要です。

加熱塔(ヒーティングタワー)の構造

密閉式加熱塔(ヒーティングタワー)の内部構造は密閉式の冷却塔(クーリングタワー)に似ていますが、熱交換器として、伝熱性能の良いフィンが使われています。

1枚あたりの伝熱面積が大きく、空気を効率的にかき混ぜられるため、熱交換効率に優れています。

空気抵抗を低減させるために、フィンピッチの最適化を図っています。
なお、暖房運転中に熱交換器表面に付いた霜を除去する必要があるため、ヒーター式の霜取り装置を搭載しています。

密閉式加熱塔は設備のイニシャルコストは若干高価になるものの、運転切換時のブライン抜き取り作業や再注入作業、不凍液の濃度管理がいらない分、手間とランニングコストを抑えることができます。

ヒーティングタワーの導入なら空研工業

密閉回路なので不凍液と空気が直接接触することもないため、不凍液が汚れる心配もありません。
冷凍機の熱交換器が汚れなくなるので、性能を維持しやすくなります。

作業時に不凍液が漏れることや運転中の飛散もないので、環境汚染や人体へ影響を与えるリスクも減らせるのがメリットです。

水冷式ヒートポンプ・チラーで暖房と冷房の両方ができるため、省エネで低コストな空調システムを実現できます。

まとめ

加熱塔(ヒーティングタワー)は冷凍機の補助機的な位置づけとして、暖房の機能を担うことができる機器です。
現在は密閉型がメインとなっています。

水冷式ヒートポンプ・チラーで暖房と冷房の両方ができ、省エネで低コストな空調システムの実現が可能です。

ヒーティングタワーの導入なら空研工業