『冷却塔(クーリングタワー)』という言葉を聞いたことがありますか?
言葉は知っていても、原理や構造などの詳細までを知っている人はなかなかいないかもしれません。
冷却塔(クーリングタワー)は、私たちの生活に欠かすことのできない大切な装置の一つです。では、実際に冷却塔(クーリングタワー)はどのような現場で使われて、何のために使用するのでしょうか?
この記事では、冷却塔(クーリングタワー)の選定方法や利用目的、価格相場、おすすめメーカーなどを紹介していきます。
冷却塔(クーリングタワー)には種類もあり、用途も異なりますので、これを機に専門用語などもぜひ参考にしてみてください。
冷却塔(クーリングタワー)とは
冷却塔とは、よくデパートなどビルの屋上に設置されている、箱や円柱の形状をした装置のことです。
一度はご覧になったことがある人もいるのではないでしょうか。
別名『クーリングタワー』ともいいます。
一般のオフィスビルや大規模なイベント施設にも設置されており、様々な場所で活躍しています。
冷却塔(クーリングタワー)は、簡単にいうと『水を冷却する装置』ですが、具体的にどのような目的で使われ、どのような仕組みになっているのでしょうか。
一般的にオフィスビル等で使用されている冷却塔(クーリングタワー)の主な役割は、室内の熱を外に放出することです。
冷却塔(クーリングタワー)の利用方法としては、主に以下も挙げられます。
- 夏は循環水を冷やす(冷房)
- 冬若しくは中間期に冷凍機を介さずに冷却塔(クーリングタワー)を用いて循環水(冷水など)を冷却する
- 高温の工場排水を常温まで冷やして排水する
このように、様々な方法があります。
基本、冷却塔(クーリングタワー)を単体で使用することはなく、放熱を必要とする機械・冷凍機と組み合わせます。
また、大きく分けて主に空調用と工業用(産業用)に分類されます。
空調用冷却塔(クーリングタワー)の仕組み
空調設備には、冷たい熱を作る冷凍機により作られた冷水を使って快適な風をフロアーに届けています。冷凍機で熱交換されて熱を帯びた冷却水は冷却塔(クーリングタワー)で冷やす必要があります。
つまり空調設備での冷却塔(クーリングタワー)は、冷暖房設備で冷却水の温度調節のために使われるのです。
基本、室内の空気を冷房で冷やすために温かい空気を冷水の中に放熱し、放熱された熱を外気に捨てるという構造になっています。
室内の熱で温められた冷水はまず冷凍機に送られたあと、『蒸発器』の中で冷媒の蒸発によって、吸熱されます。
その吸熱された熱は『凝縮器』で冷却水に放熱されるという仕組みです。
したがって、冷却塔(クーリングタワー)は「冷凍機の凝縮器によって冷却水に放熱された熱を外気に捨てる」という役目を担っているのです。
工業用(産業用)冷却塔(クーリングタワー)の仕組み
工業用(産業用)の冷却塔(クーリングタワー)は、主に以下の産業分野にて使用されるものです。
- ゴミの焼却
- 食品
- 薬品
- 化学
- セメント
- 繊維
- 発電
- 排水
- 製鉄
- 石油精製
- 化学
こうして見ると、いろいろな場面で使用されていることがお分かりいただけるかと思います。
それほど、私たちの暮らしにとって冷却塔(クーリングタワー)は欠かせないものなのです。
工業用(産業用)の冷却塔(クーリングタワー)は空調用と違い、主に様々な機械を冷却することを目的としています。
このような産業用途として冷却塔(クーリングタワー)を使用することにより、環境への配慮や節水という利点があります。
そこで、冷却塔(クーリングタワー)を使用することにより温まった冷却水を再度冷やせるため、破棄される水の量を減らし、水の再循環が可能になります。
節水になるということは、自然環境への悪影響を減らせるということです。
冷却塔(クーリングタワー)の種類
冷却塔(クーリングタワー)には主に2つの種類があります。
それぞれの違いと、構造について見ていきましょう。
種類1.開放式冷却塔
冷却塔(クーリングタワー)の種類の一つが開放式ですが、一般の空調や工業設備(産業)で多く使用されているタイプになります。
冷却水と外気を直接接触させることで冷却する点が特徴です。
外気が冷却水に触れると、一部の冷却水は蒸発します。
この蒸発で残りの冷却水も冷えるという仕組みになっています。
冷却水が外気に触れるため汚れやすく、冷凍機や付帯設備のメンテナンスの頻度が高めです。
種類2.密閉式冷却塔
密閉式は、配管の中にある冷却水が間接的に冷やされる仕組みになっています。
開放式のように、冷却水が直接外気と触れることはありません。
一般的によく使用されているのは開放式になりますが、密閉式は外気に触れて冷却水が汚染されることがないため、主に冷却水を絶対汚したくない現場で使われることが多いです。
密閉式の冷却塔(クーリングタワー)は、主に、病院やデータセンター、研究所棟のような重要施設の冷凍機冷却などで使用されます。
冷却塔(クーリングタワー)の価格相場
冷却塔(クーリングタワー)を展開している企業として、特に人気の上位が以下の3社です。
- 空研工業株式会社
- 三菱ケミカルインフラテック株式会社
- 荏原冷熱システム株式会社
仕様にもよりますが、以下が価格相場になります。例として、空研工業株式会社やその他のメーカー製品の価格を紹介します。
※あくまで参考価格の一例です、機種や仕様により変動いたしますので詳細はメーカーにお問い合わせください。
- SKB-80S 超低騒音 開放式(冷却能力363kW 水量1040L/min 送風機出力2.2kW トップランナーモーター仕様)
¥3,196,000【空研工業株式会社】 - SKB-100S 超低騒音 開放式(冷却能力453kW 水量1300L/min 送風機出力2.2kW トップランナーモーター仕様)
¥4,420,000【空研工業株式会社】 - SKB-200R 低騒音 開放式(冷却能力907kW 水量2600L/min 送風機出力5.5kW トップランナーモーター仕様)
¥6,707,000【空研工業株式会社】 - SKB-200S 超低騒音 開放式(冷却能力907kW 水量2600L/min 送風機出力5.5kW トップランナーモーター仕様)
¥8,212,000【空研工業株式会社】 - ヒシクーリングタワー HT-10KE 低騒音(冷却能力45kW 水量130L/min 送風機出力0.2kW)
¥330,000【三菱ケミカルインフラテック株式会社】 - ヒシクーリングタワー HT-30KE 低騒音(冷却能力136kW 水量390L/min 送風機出力1.1kW)
¥760,000【三菱ケミカルインフラテック株式会社】
冷却塔(クーリングタワー)の選び方(選定基準)
ここからは、冷却塔(クーリングタワー)選定する際の方法を順序立てて説明していきます。
選び方1.開放式・密閉式を選ぶ
先述した通り、冷却塔(クーリングタワー)には開放式・密閉式の2種類があります。
まずは、使用環境によってどちらのタイプにするか選びましょう。
選び方2.騒音基準を決定する
騒音基準も、選定する上で大切な項目です。
規定値が特にない場合は『低騒音型』を選び、規定値がある場合は能力選定の後に『騒音値表』から選ぶと良いです。
選び方3.白煙防止をつけるか、つけないかを選ぶ
続いて冷却塔(クーリングタワー)の仕様ですが、主に『標準タイプ』か『白煙防止』があるので、どちらかを選びましょう。
選び方4.1〜3で選定した内容に該当する機種を探す
これまでの選定内容を確認し、該当する機種を探しましょう。
→空研工業株式会社の冷却塔の機種を探す
選び方5.『限界水量表』を参考に能力を選ぶ
該当する機種のカタログ等には『限界水量表』が記載されているので表をもとに能力を選定します。
選び方6.『仕様表』及び『騒音値表』の数値を確認する
次に『仕様表』『騒音値表』の数値を確認し、数値が設計条件に合うかどうか判断します。
選び方7.出荷形状を選ぶ
出荷形状は機種により異なります。そのため、選ぶ前に必ずメーカーに問い合わせて下さい。
選び方8.設置条件が合わない場合はオーダーメイドを利用する
設置条件によりますが、仕様表に該当するものがない場合もあります。
その場合は、問い合わせしてオーダーメイドを利用することも可能です。
おすすめの冷却塔(クーリングタワー) 3選
これまでの選び方や冷却塔(クーリングタワー)の種類などを踏まえて、おすすめの冷却塔(クーリングタワー)を紹介していきます。
相場価格の際に登場した人気メーカーばかりですので、ぜひ参考にしてください。
1.冷却塔(クーリングタワー) 07シリーズ【空研工業株式会社】
空研工業株式会社の『冷却塔(クーリングタワー) 07シリーズ』は、機能性と安全性に優れた技術を用い、快適な環境を提供しています。
開放式・密閉式・極超低騒音型の3種類をご用意しており、さらに空調用と工業用(プラント用)もあります。
そのほか、省エネ・省スペース・白煙防止・低騒音など。
ニーズに合わせてお選びいただけます。
2.丸形カウンターフロータイプ シンワ冷却塔(クーリングタワー)【荏原冷熱システム株式会社】
発売当初より、40年もの実績を誇る『シンワ冷却塔(クーリングタワー)』は、丸型のボトルタイプになっています。
内部配管型を標準とし、丸大型・ポンプ付き・丸小型まで、豊富なラインナップ。
水滴音を抑え、独自技術で開発した『低騒音ファン』が人気の理由の一つです。
3.ピット一体型冷却塔(クーリングタワー)ピットタワー(R)【三菱ケミカルインフラテック株式会社】
こちらは、冷却水の貯水機能と冷却塔(クーリングタワー)を一体化させた製品です。
コンクリートピットなどの深掘りが不要で、水槽部分はボルト組み立て式のため、施工が短期間でできます。
種類は角形開放式・丸型開放式・密閉式の3つあり、利用環境に合わせることが可能です。
そのほか、水槽の大容量化、省スペース特許登録済み(第4719593号)などの特徴があります。
なお、各社の価格とメーカーの比較情報については以下の記事をご参照ください。
まとめ
冷却塔(クーリングタワー)がどのような役割を担っていて、どんな種類があるのか、お分かりいただけましたでしょうか?
選定する前に、まずは冷却塔(クーリングタワー)の種類や使用目的を知って、これから導入する際にきちんと適合したものを選ぶことが大切です。
これから冷却塔(クーリングタワー)の購入を検討されている方は、まず冷却塔(クーリングタワー)のことをよく知ってから選定していきましょう。