冷却塔から発生する白煙の原因とは?問題点や対策を解説

大型施設での空調設備として欠かせない冷却塔(クーリングタワー)。
屋外に設置されることが多い冷却塔ですが、水を循環させる際にあることが起こります。
それは吐出された空気が白く見える現象で、白煙と言われます。

ある一定の条件により白い煙のようなものが発生しますが、特に人体に害はありません。
しかし、視界不良や火災と誤認されることがあるため、特別な対策が必要になります。

ここでは、白煙の発生原因や問題点、対策について解説します。ぜひ参考にしてください。

白煙とは

冷却塔(クーリングタワー)に限らず、あらゆるところに白煙は発生します。

水分などの液体が蒸発してできるもの、不完全燃焼により現れるものも白煙と呼びます。
ひと括りで白煙といっても無害なものと有害なものがあり、不完全燃焼や有害物質などの蒸発によるものは有害、水分のみの蒸発であれば無害です。

有害な白煙といえば、排気ガスや低温でゴミを焼き続けたときに発生する白煙です。
白煙の中に、人体や環境へ影響を与える物質が含まれているからです。
反対に、無害な白煙といえば水を温める際に出る湯気などです。

屋上に設置された冷却塔から白煙が出ていると、火事だと誤解されてしまう可能性もあります。

冷却塔(クーリングタワー)から白煙が発生する原因

冷却塔(クーリングタワー)から現れる白煙の正体は、冷却塔内で熱交換後に大気に放出された飽和空気です。
この飽和空気が大気に冷やされ白く見えるのです。特に冬場への移行期や冬場ではそう見えてしまいます。

冷却塔から排出する水蒸気は温かく、相対湿度100%です。
梅雨時の朝型でも起こることがあります。

それは冷却塔の仕組みが大きく関係しています。
ここで簡単に、冷却塔の仕組みについて解説しましょう。

冷却塔は冷却水を冷やす機械です。
冷却水は一度使用すれば温められ、そのまま使ってしまうと機械に負荷を与えます。
そのため、繰り返し使えるよう冷却塔で使える温度まで冷却水を冷やします。

冷却塔は、温められた冷却水と外気を接触させ顕熱と潜熱を使って冷却水を冷やしますが、この過程で条件によって白煙が現れるのです。

冷却塔には開放式と密閉式の2つのタイプがありますが、白煙は同様に発生します。
開放式では冷却水が直接外気と触れます。
また、密閉式は白煙とは関係ないのでは?と思われますが、密閉式でも開放式と同様です。
密閉式では冷却水が銅コイルの中を流れており、間接的に熱交換していますが、散布水が外気と触れるので、同様の現象が起こります。

一方、ビルなどの大型施設では空調設備に有効的な術として、冷却塔は欠かすことができません。
冷却塔を使用している以上、この問題を避けて通ることはできません。

白煙により発生しうる3点の被害

温められた冷却水を冷やす過程で発生してしまう白煙ですが、ときに周囲に被害を与えてしまうこともあります。
どのような被害が挙がっているのか、詳しく解説していきます。

被害1.道路や空路などへの視界の妨げ

白煙は視界に対し、悪影響を及ぼしてしまいます。
自然現象として発生する濃霧ですが、この場合前が見えないので閉鎖や欠航を余儀なくされます。その状況に酷似しているのが冷却塔(クーリングタワー)の白煙です。

公共交通機関や飛行機は、視界不良になると安全に走行や飛行することが困難になります。
白煙の影響で運休や欠航となってしまう可能性もあります。

視界不良問題は冷却塔を設置しているところであれば、どこでも起こりえる問題です。
街の中でも条件さえ整えば白煙は発生してしまうため、多大な被害を生むことになります。

視界不良ではありませんが、実際白煙によって通報沙汰になったケースがあります。
夜間の冷却塔使用により白煙が出て、それを見た人が火災だと勘違いし消防車を呼んだということがありました。

白煙は視界不良をもたらすだけでなく、火事が発生していると勘違いされてしまう可能性があります。

被害2.景観や日照の妨げ

白煙は文字通り白い煙です。
この煙が周囲を見通しの悪い状態にし、景観への影響や日照を遮ってしまう原因になります。

景観を大切にする場所であれば、白煙はご法度です。
いくら美しい景観や建物であっても、白煙によって見えづらい状態になってしまえば意味がありません。

また、日照へも影響が出てしまいます。
白煙により直射日光が遮られてしまうと、日照不足になってしまいます。
日当たりが悪くなってしまうと、植物や人間に少なからず影響を与えてしまいます。

被害3.大気汚染の誤解を招く

白煙による最大の被害は大気汚染物質を放出しているという誤解を招くことです。
水が蒸発し、温度や湿度の差によって白く見えているだけですが、有害なものを出していると捉えられてしまいます。

ものを燃やすと出てくる煙と、水蒸気が同じ扱いとなってしまいます。
両方とも白い煙ではありますが、含まれる成分や発生過程が異なるため全くの別物です。

ものを燃やすと出てくる煙は、物質と空気中の熱や光の発生による反応にて発生します。
一方で、冷却塔からの白煙は水蒸気が空気中で冷やされ凝縮し、細かい水滴となり光の反射で白く見えているだけです。
反応ではなく、自然の原理により発生したものなので安全・安心なものです。
しかし、白煙は有害物質を出しているといった誤った認識より、環境配慮が必要なのです。

なぜ白煙は危険だと思われているのでしょうか。
高度成長期に工場などの生産業が盛んだった頃、毎日白煙をあげ様々なものを作り上げてきました。
石炭を燃料としていたので、二酸化炭素が大量に放出されました。
また、不完全燃焼なども発生するため、一酸化炭素も二酸化炭素同様に放出されました。

そのおかげで今の日本があるのですが、成長の裏には有害物質を大量に放出し大気や人体を汚染していったという負の側面もあります。
今では法が改正され大気がクリーンになりましたが、白煙は有害であるという認識が根付いてしまいました。

このほかにも、今は禁止となった学校や家庭での焼却にも原因があります。
ごみ焼却場は高温で焼くので安全ですが、低温で焼いてしまうとダイオキシン発生の原因になります。
これも白煙が危険であるという認識を強める原因となります。

無害であっても白煙というだけで、視界不良以外の障害も出ているのが事実です。
快適に、そして安全な日常を送るには小さなことでも配慮を欠かすことはできません。

では具体的にどのような対策をすればいいのか、次の章で見ていきましょう。

冷却塔の白煙対策なら空研工業

冷却塔(クーリングタワー)から白煙を発生させない対策方法

冷却塔(クーリングタワー)の仕組み上、白煙の発生は避けて通ることはできません。
しかし、対策を取ることにより白煙の発生を抑制したり、発生しても目立たなくさせたりすることは可能です。

その代表的な対策方法として、白煙防止の冷却塔の導入・切替があります。

冷却塔には一般的なもの、白煙防止対策、騒音対策などのタイプがあります。
白煙は外の温度や湿度差によって現れることから、その差をなくす仕組みが白煙防止の冷却塔には採用されているのです。

簡単に説明すると、一般的な冷却塔の充てん材は湿式熱交換器のみですが、白煙防止の冷却塔には乾式熱交換器をプラスしています。
湿った空気と高温の乾いた空気を混ぜることにより、白煙の発生を抑えます。
景観などの影響、視界不良により周りに悪影響を及ぼす場所では、積極的に取り入れるといいでしょう。

空研工業の冷却塔にも白煙防止の冷却塔はあります。
開放式・密閉式とも取り揃えていますので、導入・切替の際は検討ください。

まとめ

今回は、冷却塔(クーリングタワー)から発生する白煙について解説しました。

冷却塔から排出される飽和空気は無害なものではありますが、温度や湿度の差に影響され白い煙のように見えているのが事実です。
その影響により、視界不良や火災と誤解されるなどの被害も報告もされています。

しかし、白煙は対策を取れば発生を抑制・防止することが可能です。
白煙でお困りの方は冷却塔メーカーに相談することをおすすめします。

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