冷却塔とチラーの違い・種類(水冷式と空冷式)・選び方について解説

冷却塔とは、冷却水を冷却する装置のことを言い、別名クーリングタワーと呼ばれています。
冷却水の温度レベルは一例ですが37℃まで温められたものを32℃まで冷やします。

これに対して、チラーは冷水を作る装置です。
そのレベルは、これも一例ですが12℃まで温められた冷水を7℃まで冷やします。

しばしば冷却塔とチラーは同一視されることがありますが、使用目的や用途、そして実際に使用される温度のレベルから両者は全く異なります。

その他、両者にはどのような違いがあるのか、チラーとは何か、など疑問が出てくるかもしれません。
ここでは、冷却塔とチラーの違いとともに、チラーの種類についてわかりやすく説明します。

チラーとは

チラーとは、冷凍サイクルにより冷水を作る装置のことを指します。
温水を作ることもできますが、冷却塔(クーリングタワー)と対比するために冷水に限定して説明します。

英語の「chill(冷気)」を由来とする言葉で、日本語では冷却水循環装置と呼ばれることもあるのです。
これが両者が似ていると混同される一因です。

チラーは主に機器の温度をコントロールする目的や循環水の温度をコントロールする目的で使用され、理化学機器や産業機器などが冷却する機械の対象となります。

チラーの仕組みは冷却塔に比べると複雑です。

冷却塔は大気圧の下、外気を誘引する送風機と熱交換を行う熱交換部そして散水装置などから成り立っています。
それに比べて、チラーは冷水を作るための冷凍サイクルを連続して回すために蒸発器や圧縮機そして凝縮器などが密閉した容器の中で組合されており、高圧にしたり真空に近い状態にしたりできるようになっています。

冷水を冷やすためには冷媒と呼ばれる液体を連続して蒸発させる必要があります。
そのために蒸発させた冷媒を圧縮機、凝縮器にて液体に戻す必要がありますが、この時に凝縮器から熱を奪う必要があります。
この熱を奪う方法として二つの方法があり、水で行う水冷式と空気で行う空冷式があります。

実は冷却塔にも水冷式と空冷式があることもつけ加えておきます。
いずれもメリットとデメリットがありますので用途や目的そしてコスト等、考慮の上選定されることをお勧めします。

冷却塔(クーリングタワー)とチラーの違いとは

冷却塔(クーリングタワー)もチラーも、冷却する装置であることに変わりありません。
そのため、同じものだと混同されることもありますが、仕組みや役割を見ると異なるものであることがわかります。

冷却塔は、通常主機であるチラー(冷凍機)や製造装置で温められた冷却水を繰り返し冷やす目的で設置されます。
なぜ冷却塔が必要であるかというと、チラーでは凝縮工程で熱を奪う必要があり、そのため冷却水が必要であるからです。
このことはすでに前項で述べています。

空調が適切に稼働するためにも、冷却水が必要になることから、冷却塔は重要な役割を担っていることがわかると思います。

一方のチラーは、冷凍サイクルを回して作った冷水を利用して循環液に熱を移動させ、製造装置の冷却のために一定の温度で循環液を供給したり冷水に空気を当てることで冷風を作り冷房することができます。
この点で、まず大きく異なると考えられるのではないでしょうか。

冷却塔は、前述したように主機の下支えをするための装置です。
空調システムが円滑に運転できるようにしたり、製造機器が品質や生産性を保つために役立っています。

冷却塔が縁の下の力持ちと言われる所以かもしれません。

チラーの種類

チラーは、放熱の方法によって2種類に分けられます。
放熱とは前述した凝縮器から熱を奪う方法です。
冷却塔(クーリングタワー)を使って水で冷やす方式が水冷式であり、空気で冷やす方式が空冷式です。

種類1.水冷式

水冷式は、凝縮器(コンデンサーとも呼びます)の放熱を冷却水を使って行う方式のことを言います。

種類2.空冷式

空冷式には放熱のために、水の代わりにファンが設置されていて、奪った熱をそのまま外気中に放出します。

水冷式と空冷式の違いとは

違い1.放熱方法(凝縮器からの熱の奪い方)

水冷式と空冷式の大きな違いは、放熱方法です。
前述しましたが、簡単に言えば水冷式は水を利用し、空冷式は空気を使います。

違い2.冷却効率

冷却効率の面でも、水冷式と空冷式では違いがあります。
冷却効率は機種などによって異なりますが、水冷式と空冷式ではどちらかというと前者のほうが冷却効率が良いと言われているのです。

違い3.使用スペース

設置スペースではなく、使用スペースという言葉を使ったのには意味があります。
冷却効率は水冷式の方が良いようですが、空冷式にもメリットがあります。

それは水を使わないために冷却水の配管が要らないということです。

水冷式の場合、冷却塔(クーリングタワー)が冷やした冷却水をチラーまで配るための配管が必要ですが、空冷式には不要です。
チラー自身に送風機を装備していますが、それはスペースを使用しないからです。

チラーを選ぶ際のポイントとは

条件に合ったチラーを選ぶには、いくつかポイントがあります。

ポイント1.冷却する機械に合ったものを選ぶ

チラーを導入する目的は、対象とする機械を冷やし、機械のパフォーマンスを落とさないことです。
そのため、チラーは冷却対象となる機械に合ったものを選ぶことが重要なポイントになります。

ポイント2.循環水を最適温度に設定できるか確認

冷却する機械には、それぞれ最適温度があります。
循環水を最適温度に設定できるかどうかも、チラーを選ぶ際のポイントになるでしょう。

はじめに機械の最適温度を把握しておき、循環水の温度を決めていきますが、それを参考にしてどのチラーにするか検討することをおすすめします。

ポイント3.適切な冷却方式をメーカーに相談

チラーの冷却方式も、選ぶ際に外せない判断材料になります。
主な冷却方式には、水冷式と空冷式がありました。

また、市販されているチラーは、メーカーによって仕様などが異なりますので、最終的にどの機種を選ぶか、判断に迷うことも考えられます。
その場合は、メーカーの担当者に相談するなどして、アドバイスを得ると良いでしょう。

まとめ

冷却塔(クーリングタワー)とチラーの違いから、チラーの種類、選び方などについて解説しました。
少しわかりにくかったかもしれませんが参考になれば幸いです。

チラーを選ぶ際は冷却方法の違いやそのチラーが持つ性能、そして対象冷却となる機械との相性などを考慮することがポイントです。

冷却塔の導入なら空研工業