冷却塔の出口温度とは?設定の適正化でエネルギー消費量やCO2排出削減を図る

冷却塔(クーリングタワー)は蒸発冷却によって水から熱を除去するシステムです。
蒸発冷却は屋外湿球温度と循環水入口温度の差によって決まるため、その仕組みや構造を理解することで適切な活用が可能となります。

ここでは冷却塔(クーリングタワー)の出口温度について詳しく紹介します。

冷却塔(クーリングタワー)の出口温度とは

環境省は温室効果ガス排出抑制など指針における業務部門の指針として、冷温水出口温度の適正化や冷却水設定温度の適正化を挙げています。
一般的に、冷凍機や冷温水発生機の冷温水送水温度は、設置時に機器の必要冷暖房能力を考慮して引き渡されます。

ただし竣工引き渡し時のままでは年中一定の設定温度となっているのが一般的であり、時期や環境に応じた対応はなされていません。

たとえば熱源設備の冷温水の出口温度と入口温度差が小さくなる時期に、適正な範囲で出口温度を緩和すれば熱源設備のエネルギー消費量やCO2排出量の削減が図れる期待が持てます。

また水冷式の冷却塔(クーリングタワー)の場合、冷却水の出口温度設定も入口温度差を大きくする=入口温度を低くすれば機器効率を上げられるでしょう。

こうしたことから、環境省は熱源設備の出口温度の設定を季節や建物の環境から判断し、きめ細かい設定を行うことを推奨しています。

たとえばピーク時期以外の冷暖房など、基準値を2~3℃程度緩和することで、熱源設備の効率を向上させることが期待できるのです。

実施手順としては、まず熱源設備の運転記録を確認し、冷水温水の出口温度・入口温度をチェックします。
夏季や冬季といったピーク時と、それ以外の時期との計測比較も重要です。
条件面では外気温だけでなく、在室人数など利用状況によっても温度変更がある場合が想定されますし、除湿処理ができているかなど運用面からの影響も考えられます。

冷却水の設定温度の調整も必要

こうしたさまざまなデータをもとに冷温水温度の設定変更を検討し、冷凍機メーカーのサービス部門などと連携しながら、機器に影響のない範囲で実施が求められている状況です。

いずれにしても、冷却水設定温度の適正化を図るためにはきめ細かい調整を行う必要があり、オフィスビル単位で取り組むことで軽負荷期や中間期などにおいて大きな効果が期待されるとしています。

冷却水の設定温度に関しては現状を確認し、冷却温度サーモの設定や冷却塔(クーリングタワー)のファン容量と容量制御方法も確認が必要です。
冷凍機メーカーに冷却水の入口温度の下限値を確認したうえでサーモスタットの設定値を変更し、冷温水の出口温度の適正化を図ることが重要です。

また手順については冷凍機メーカーのサービス部門に確認し、変更後に冷凍機の稼働状況が安定しているかどうかをチェックする必要があります。

当然ながら冷水温度を高くすれば調整能力が損なわれることになりますので、最適点を見極める必要があると言えるでしょう。

熱源設備の運転効率は上がっても、冷却塔(クーリングタワー)のファン動力は増加します。
設定に関しては冷却塔(クーリングタワー)の動力消費量にもチェックが必要です。

冷却水の役割

冷凍サイクルには水冷式と空冷式とがありますが、冷却水を使用するのはこのうち水冷式を採用している機器です。

水冷式では冷凍サイクルにおいて温度を下げるために使用した冷却水を、もう一度冷却に再利用できる温度にまで下げるために冷却塔(クーリングタワー)という構造を持っています。
冷却塔(クーリングタワー)には開放式と密閉式、蒸発式の3つの方式がありますが、いずれにしても冷却水は重要な役割を担っています。

冷却水は、冷却塔(クーリングタワー)内に取り込まれた空気と接触することで顕熱量変化を起こすことと一部蒸発することで自身の温度を下げる潜熱量変化を起こすことが重要な作用です。

このうち顕熱量変化は冷却水温度と乾球温度に関係していて、潜熱量変化は湿球温度に関係しています。

冷却塔(クーリングタワー)の仕組みを理解するためにはこの冷却水の働きを理解する必要があり、水と温度の関係を理解することが一番の近道です。

冷却水を利用した熱除去の仕組み

まず、水が蒸発すると熱が奪われることはご存知かと思います。
このシンプルな現象が、乾球温度と湿球温度を理解し、冷却水を利用した熱除去の仕組みを知るための基本です。

水は蒸発量が多ければ多いほど熱を多く奪い温度もどんどん下がっていきますが、まったく蒸発しない状況では温度はほぼ変わりません。
空気が水蒸気を保持する状況には限界があり、水の周りの空気が限界状態になると水は蒸発しなくなります。

つまり湿度100%というのは空気が限界まで水蒸気を持っている状態ですが、同じ量の空気でも温度が違うと水蒸気を持てる量が変わります。

気温が高ければより多くの水蒸気を持っていられますし、気温が低ければすぐに限界がくるのです。
空気が水蒸気を持てなくなる限界が飽和水蒸気量ですが、たとえば20℃の空気1㎥は17.3gの水蒸気を持つことができるのに対し、30℃では30.4gまで持つことができます。

この差を利用して気温だけでなく湿度まで測るのが乾球温度計と湿球温度計です。
乾球温度計は一般的な温度計であり、湿球温度計は先がガーゼにくるまれ、水に接しています。

前項で冷却塔(クーリングタワー)内における冷却水の温度を下げる2つの作用を説明しましたが、乾球温度と湿球温度を知ることで冷却塔(クーリングタワー)内の熱量の内訳を見ることが可能となるのです。

冷却塔(クーリングタワー)内の状態変化

開放式でも密閉式でも冷却塔(クーリングタワー)内には外気が取り込まれますが、取り込まれた空気は冷却塔(クーリングタワー)内で温度と湿度を変化させながら出口に向かって移動していきます。

このとき、温度変化より湿度変化により多くの熱量が使われますが、これは水の温度1℃あたりの変化に使われる熱量より、蒸発させるのに使われる熱量のほうが圧倒的に多いためです。

ただし前述した通り、相対湿度100%になると水は蒸発できませんので、冷却水の温度が冷却塔(クーリングタワー)に取り込んだ空気の湿球温度以下になることはありません。

このため、冷却塔(クーリングタワー)で非常に重要になるのが、取り込まれる外気の温度と冷却水の冷却塔(クーリングタワー)入口温度、そして出口温度との差です。
ほとんどの場合、入口水温は37.0~37.5℃、出口水温は32.0℃の設定となっています。

冷却塔(クーリングタワー)の冷却方式について

開放式冷却塔では、冷凍機で使われた冷却水は冷却塔(クーリングタワー)の上部から充填材に向けて散水されます。
これは、冷却水と空気とをより広い面積でより長く接触させるためです。

冷却塔(クーリングタワー)上部には散水装置のほか送風機も取り付けられていて、冷却水がより早く蒸発するよう促進します。
熱量を奪われ温度が下がった冷却水は再び冷凍機へと戻され、このことで冷凍サイクルがスムーズに回りますが、水と接触した空気は当然温度が上がるため、速やかに冷却塔(クーリングタワー)から外へ排出されます。

冷却塔(クーリングタワー)の入口の空気温度と冷却水の出口温度の差を「アプローチ」と言いますが、性能の高い冷却塔(クーリングタワー)ほどアプローチは小さくなるのが特徴です。
一般的には5℃程度に設計されています。

密閉式冷却塔では、内部にプレートや管などが敷き詰められていて、そこに水を散布して蒸発潜熱で冷却水を冷却します。
冷却水の取り込み方が異なるものの、基本的な考え方は開放式の冷却塔とさほど変わりません。

冷却水を管内に通す理由としては、空気中の不純物が冷却水に混入するリスクを避けるためです。
密閉式の場合、冷却水の水質管理がしやすいため、そこが利点となります。

蒸発式冷却塔の場合は、冷凍機の凝縮器や冷却コイルをそのまま冷却塔(クーリングタワー)の内部にまで引っ張ってくるイメージです。

つまり冷却コイルへ直接散水することでコイル内の冷媒を直に冷却する方式となっていますので、少々特殊と言えるでしょう。

冷却塔(クーリングタワー)の構造による違い

冷却塔(クーリングタワー)の構造は、基本的に蒸発冷却で冷却水から熱を除去しますので、屋外湿球温度と循環水の入口温度の差が重要です。

まず開放式か密閉式かを選ぶことになりますが、入口水温、出口水温、外気湿球温度の適合をしっかり見た上で、循環水量に適合する機器を選ぶ必要があります。
冷却塔(クーリングタワー)はさまざまな条件が揃ったときに最も効率的に稼働しますので、数値の計測に関しては正確かつ信頼性の高いものであることが重要です。

冷却塔(クーリングタワー)を過剰に使用することになれば水とエネルギーの使用量が増え、機能寿命が短くなるだけでなく、環境問題にも悪影響を及ぼすことになります。

冷却塔(クーリングタワー)の役割は、循環する冷却水から熱を除去して再利用することであり、効率的な冷却水への熱交換を行う構造が必要です。
水とエネルギーを余分に使用することは、冷却塔(クーリングタワー)の運転においてコストが高くなる要因となります。
自動制御システムを備えた冷却塔(クーリングタワー)であれば、最大効率で動作する設計となっているため効率的な運転が可能です。

またファンやポンプといった構造上不可欠な機器のメンテナンスや修理において、コストを低減し、寿命を延ばす対策も重要となります。

開放式冷却塔の構造上の特徴は、循環水と外気が直接接触することで、高効率でコンパクト、メンテナンスが容易でイニシャルコストを抑えることができるのがメリットです。

一方で密閉式冷却塔の構造上の特徴は、循環水が密閉回路のコイル内を流れることで空気と直接接触せず、循環水の濃縮や水質の変化がなく水質管理が容易な点がメリットです。

いずれにせよ運用上どのような構造が適しているかは、ケースバイケースで確認が必要となります。

まとめ

冷却塔(クーリングタワー)の役割は、冷却に使用された冷却水を取り込み、蒸発冷却によって水から熱を取り除き、再び冷却に用いられる状態にすることです。

最適な稼働環境を維持するためにはいくつかの条件が揃う必要がありますので、運転環境や設置条件、温度管理や湿度管理をしっかり行ったうえで適切に稼働させましょう。

エネルギーの無駄はコストの無駄になるだけでなく、自然環境に対する悪影響にもつながります。

環境省の温室効果ガス排出抑制など指針に沿うためにも、冷温水出口温度の適正化や冷却水設定温度の適正化課題などに向き合うことは、企業にとって重要な事項と言えるでしょう。

NO IMAGE
CTR IMG

〒810-0051 福岡市中央区大濠公園2番39号
TEL. 092-741-5031 FAX. 092-741-5122