「冷凍トン」「冷却トン」名称は似ていますが、意味合いは異なり、「冷凍トン」は氷をつくる能力、「冷却トン」は冷却水を冷やす能力を表しています。
そのため、冷却塔(クーリングタワー)で冷やす能力を示す単位は「冷却トン」を使用します。
区別を明確にして本記事をお読みいただくことで、冷却塔(クーリングタワー)で使用する「冷却トン」とは何かを理解できるようになるでしょう。
冷却塔(クーリングタワー)の「冷却トン」とは
冷却塔(クーリングタワー)では、冷凍機の「冷凍トン」に対応させて「冷却トン」が使われます。
「冷却トン」は冷却能力を表すものです。冷却塔(クーリングタワー)の種類により定義が異なるため、以下で紹介します。
ターボ式冷凍機用冷却塔(クーリングタワー)
1冷却トンは、13L/minの水を標準条件下において、5℃冷却するための熱量です。
(標準条件:入口温度=37.0℃、出口温度=32.0℃、循環水量=13L/min)
ターボ式冷凍機用冷却塔(クーリングタワー)では、1冷却トン=4.53kWとなります。
1冷却トン=13L/min x 60 x (37℃-32℃) x 4.186kJ/kg℃÷3,600s/h≒4.535kJ/s(4.535kW)
吸収式冷凍機用冷却塔(クーリングタワー)
1冷却トンは、17L/minの水を標準条件下において、5.5℃冷却するための熱量です。
(標準条件:入口温度=37.5℃、出口温度=32.0℃、循環水量=17L/min)
吸収式冷凍機用冷却塔(クーリングタワー)では、1冷却トン=6.523kWとなります。
1冷却トン= 17L/min x 60 x (37.5℃-32.0℃) x 4.186kJ/kg℃÷3,600s/h ≒6.523kJ/s(6.523kW)
冷凍機の「冷凍トン」とは
冷凍機の能力を表すものです。「冷凍トン」の定義は下記のとおりです。
・日本冷凍トン(JRt)
1冷凍トンとは、0℃の水1トン(1,000kg)を24時間で0℃の氷にするための熱量です。
つまり水(0℃)を氷(0℃)にするために、自ら取り去る凝固熱が相当します。
凝固熱は水1kgあたり333.5kJ/kgなので、24時間で333.5kJ/kg x 1,000kg =333.5kJ の熱を取り去ることになります。
これを1時間あたりの熱量に換算すると、
1冷凍トン(JRt)=333.5kJ/24h/3,600h/s ≒3860kJ/s=3.860kW となります。
・米国冷凍トン(USRt)
日本冷凍トンでの水1トン(1,000kg)に対し、水2,000ポンド(1ポンド=0.453kg)で求めたものが米国冷凍トンとなります。
1冷凍トン(USRt)=(2000lb×0.4536kg/lb×333.5kJ/kg)÷24h×3600h/s ≒3.497kJ/s =3.497kW
日本では米国冷凍トン(USRt)が一般的に利用されています。
まとめ
日本でも「米国冷凍トン」が主に使用されています。
計算式は複雑ですが、冷却塔(クーリングタワー)の設計には必要となります。