冷却塔の飛散水量とその計算方法を解説

冷却塔(クーリングタワー)の飛散水は、冷却塔の構造や型式によって違いがあります。

ここでは、開放式冷却塔と密閉式冷却塔の違い、及び飛散水の違いについて説明します。
また飛散水量の計算方法と、飛散水に関わる循環水の汚染や4つのトラブルも併せて解説します。

冷却塔(クーリングタワー)の飛散水とは

冷却塔(クーリングタワー)の飛散水は、一般にキャリーオーバーと呼ばれています。
ここではまず、冷却塔(クーリングタワー)の構造と飛散する水の違いについて説明していきましょう。

開放式冷却塔の飛散水

上から流れてくる冷却水に直接外気を当てて蒸発を促し冷却水を冷やす方法が開放式ですが、開放式冷却塔の冷却方式は大きく分けて2種類あります。
違いは外部からの空気の取り込み方です。

まず冷却塔(クーリングタワー)の下部から取り込んだ外気を当てて冷却する方法を、交流型(カウンターフロー方式)といいます。
一方で、交流型に対し、外気を横から取り込んで冷却水に直角に当てる方法が、直交流型(クロスフロー方式)です。

カウンターフロー方式もクロスフロー方式も、取り込まれた外気は冷却塔(クーリングタワー)上部にあるファン(送風機)によって再び外に排出されます。
このとき蒸発して気化した冷却水も空気と一緒に、外部に放出します。
これが開放式冷却塔の飛散水です。

一般に開放式冷却塔は、カウンターフロー方式よりクロスフロー方式の方が飛散水量は少ないとされています。
他にも、開放式冷却塔は密閉式冷却塔に比べて効率が良く、コンパクトでメンテナンスが容易であること、そしてイニシャルコストを抑えることが出来る、というメリットがあります。

空研工業は、クロスフロー方式の開放式冷却塔を採用しています。
さらに充填剤を高性能化・高水負荷型にする新技術の開発に成功しており、従来に比べて飛散水量を低く抑えることができるようになりました。

クロスフロー方式の開放式冷却塔の導入なら空研工業

密閉式冷却塔の飛散水

密閉式冷却塔では熱交換によって温められた冷却水が、充填材の中に敷設された配管の中を流れていきます。
この配管を銅管コイルといいます。
一方で、上部水槽から配水箱を通って散布水が充填材に流れ落ちています。

この散布水が銅管コイルを冷却して、銅管コイル内の冷却水を冷やす仕組みです。

冷却水と外気は直接触れ合わないため、水質の変化もほとんど無く、開放式冷却塔と比べて冷却水を衛生的に管理できます。

冷却水との熱交換によって蒸発した散布水は、クロスフロー方式で取り込まれた外気と共に、冷却塔(クーリングタワー)上部のファン(送風機)によって外部に放出されます。

このときに放出された散布水が、密閉式冷却塔の飛散水です。

冷却塔(クーリングタワー)の水質管理の目的

冷却塔(クーリングタワー)の水質管理の目的は、健康被害の防止と冷却塔(クーリングタワー)トラブル防止のためです。
もし飛散水が汚染されていたら、中に含まれる汚染物質がエアロゾルとなって大気中に放出され、甚大な健康被害のリスクが高まるためです。

過去には冷却塔(クーリングタワー)の飛散水による健康被害の報告があり、冷却塔(クーリングタワー)の水質の衛生管理については厳しく義務付けられました。
また、汚染物質は健康被害だけでなく、冷却塔(クーリングタワー)自体のトラブルにもつながっていきます。

そのため冷却塔(クーリングタワー)は、定期的なメンテナンスと水質管理が大変重要です。

冷却塔(クーリングタワー)の水質汚染の原因

冷却塔(クーリングタワー)の水質汚染の原因の1つは、外部からの土や埃、藻や細菌の侵入。
特に冷房用空調機に使われている冷却塔(クーリングタワー)は、夏季以外は停止している場合が多くなります。

休止期間中に外気から侵入した汚染物質で、水槽内にはスライムや藻が形成されていくのです。
スライムは、レジオネラ菌などの健康被害の原因になる物質が含まれている可能性が高いでしょう。

冷却塔(クーリングタワー)の水質汚染の2つ目の原因は水濃縮。
冷却水は補給されなければ、キャリーオーバーにより減量していきます。

キャリーオーバーなどで冷却水が蒸発するのは水分だけ。
水の中に含まれているミネラルなどは、配管や水槽の中に残ります。

そこに新しい補給水が給水され続けると、水の濃縮が起こるのです。
例えば味噌汁を煮詰めていくと、塩分や味の濃い味噌汁になっていくイメージ。

味噌汁は味が濃くなるだけなく、味噌などの沈殿物が増えていきます。
つまり、冷却塔(クーリングタワー)内での水の濃縮でも、これと同じような現象が起こるのです。

沈殿された物質は、外気から取り込まれた土や埃、藻が含まれることがあり、配管や水槽に藻やスライムが増殖するでしょう。
カルシウムなどの不純物は白くて硬いスケールと呼ばれる状態になり、目詰まりの原因となることもあります。

このような不具合を避けるためには、薬剤の投入や、ブローダウンという定期的に水を排出する作業が必要になります。
ブローダウンは冷却水を故意に排水して減量し、水濃縮を避けて水の入れ替えを促す水質管理の方法です。

水質汚染による冷却塔(クーリングタワー)のトラブル

冷却塔(クーリングタワー)の水質汚染によって発生するトラブルは大きく分けて4つです。

「スライム障害」「腐食障害」「スケール障害」「レジオネラ障害」。

冷却塔(クーリングタワー)にトラブルが発生し、水や空気の流れが悪くなり、飛散水量の増加に繋がります。

水質汚染による冷却塔(クーリングタワー)のトラブル スライム障害

冷却水の温度は、微生物の増殖に適しています。
特に冷房用冷却塔(クーリングタワー)は、10月頃から翌年4月まで運転を停止している場合が多いです。

運転休止期間を経て冷却塔(クーリングタワー)内を洗浄し水槽に水を張っても無菌状態にはならず、放置すれば10日前後で洗浄前の状態に戻ってしまうという事例もありました。

水槽や配管内では放っておくと、外部から侵入した藻類やバクテリアなどの細菌、カビなどから粘り気のある成分が分泌され、ドロドロした物質が固まっていきます。
これがスライムです。

スライムの発生は、悪臭の原因にもなります。そして循環水のスムーズな流れを妨げ、ポンプなどに過度なエネルギー負荷をかけてしまうでしょう。

水質汚染による冷却塔(クーリングタワー)のトラブル 腐食障害

冷却塔(クーリングタワー)の腐食障害の多くは、水質が大きく影響しています。
腐食の原因は主に、溶解酵素やpH、塩化物イオン、硫酸イオン、アンモニウムイオンなど。

冷却水や散布水内部に腐食因子が増殖すると、配管や部品に穴をあけるなどの障害を起こします。
腐食によって剥がれた固まりも冷却塔(クーリングタワー)内を循環する冷却水や散布水に浮遊し、新たな目詰まりを起こす原因にもなるでしょう。

腐食は冷却塔(クーリングタワー)の水質管理を怠ってしまうことが大きな要因ですが、冷却塔(クーリングタワー)の設置環境にも原因があります。

例えば、近くに工場があり設備から出る排ガスを吸い込みやすいというのもその1つです。
また、設置される環境によっても冷却塔(クーリングタワー)内を循環する水の汚染が促され、腐食の原因になることがあるのです。

そのため、現在では冷却塔(クーリングタワー)の設置場所について、排気ガスの影響が出ない場所や、風向きを考慮して設置されることが定められています。

水質汚染による冷却塔(クーリングタワー)のトラブル スケール障害

スケールとは冷却塔(クーリングタワー)を循環する水中に、ミネラルなど溶け残った成分が、配管などに付着して堆積したものです。
スケール発生の原因の一つは、水の濃縮です。

冷却水も散布水も蒸発するのは水分だけで、ミネラルなどの含有成分は水中に残ったままになってしまうでしょう。
水中に残った成分のうち無機物は主に、マグネシウムやカルシウム、シリカ、鉄さびなど。

この無機物が冷却塔(クーリングタワー)の配管や部品に付着し、固化します。
例えば、やかんや電気ポットを空焚きしてしまったときに白く残っている跡、見覚えがありませんか?
これが、スケールです。

配管にスケールの付着が始まると、最終的には目詰まりを起こします。
スケールの成分にはさびの原因となるものも含まれるため、放置するとやはり腐食を引き起こし、配管や部品に穴をあけるリスクが生まれます。

さらに、熱交換がうまく行われずエネルギーロスにつながり、ポンプ圧の上昇や循環する水量の低下の要因にもなります。

水質汚染による冷却塔(クーリングタワー)のトラブル レジオネラ障害

冷却塔(クーリングタワー)の飛散水で最も気を付けなければならないのは、汚染物質が放出されること。
冷却塔(クーリングタワー)は屋上に設置されることが多く、直射日光の影響も少なからず影響しています。

直射日光による紫外線の影響も藻の発生を促し、スライムの形成につながります。

そして、細菌やカビの生育環境に最も適している水の温度は37度から41度で、最も菌の増殖しやすい環境になっているのです。

細菌類の中でも、レジオネラ菌は過去に冷却塔(クーリングタワー)の飛散水からエアロゾルとして放出されて健康被害がでています。
レジオネラ菌は、冷却塔(クーリングタワー)の水の濃縮、スライム障害などで発生する可能性があります。
また、水の濃縮は外部から侵入した微生物などの有機物質も濃縮されることになり、レジオネラ菌も増殖していくのです。

レジオネラ菌を含んだスライムは熱伝導率を低下させたり、充填材た配管などを詰まらせていきます。
その結果、水や空気の流れが悪くなり、飛散水量の増加に繋がります。

飛散水量の計算式

冷却塔(クーリングタワー)の排水量の計算は、冷却塔(クーリングタワー)の設置計画に必要です。
排水量をあらかじめ計算することで、下水道料金の減免措置を受けることも出来ます。

基本的に下水道料金は、上水道で使用した水量がすべて下水に流されることを前提として計算されています。しかし冷却塔(クーリングタワー)は、補給した水量がすべて下水道に排出されるわけではありません。

冷却水や散布水が、熱交換のために蒸発して排出される量があるためです。

そのため、冷却塔(クーリングタワー)が設置されている自治体は、冷却塔(クーリングタワー)をもつ施設に対して下水道の減免措置制度を設けています。
下水道の減免制度を利用し、ランニングコストを抑えるために、循環水の排水量を計算することは重要です。

一般的に、冷却塔(クーリングタワー)の飛散水量は冷却水・散布水の「0.1%」といわれています。
この式を単純に当てはめると、以下のようになります。

1時間あたりの循環水量×0.1%×冷却塔(クーリングタワー)稼働時間=飛散水量

小規模な100RTの冷却塔(クーリングタワー)1台では、1時間に約78トンの循環水量があるとされています。
仮に冷却塔(クーリングタワー)が6時間稼働したとすると、以下のような計算式になります。

78,000リットル×0.001(0.1%)×6時間=468リットル
空研工業株式会社では、飛散水量(キャリーオーバー量)は循環水の0.05%であると計算しています。
補給水量を計算する上では安全を見越して、さらに高い数値を設定しています。

参考URL:https://www.kuken.com/electro/catalog02/HTML5/sd.html#/page/44

蒸発量の計算(WE)kg/h
WE=(Tw1-Tw2)×L×Cp÷2520
Tw1:入口水温(℃) Tw2:出口水温(℃) L:循環水量(kg/h) Cp:水の定圧比熱(4.2kJ/kg℃)
2520:水の蒸発潜熱(kJ/kg)

一般空調用の出入口水温差は5℃ですから各項に数値を代入して計算すると、蒸発量は循環水量の0.83%となります。

キャリーオーバ量(WD)kg/h
塔体の構造、通過風速などにより変化しますが、開放式冷却塔の場合循環水量の0.05%程度です。

補給水量 (△L)kg/h
上記2項の合計となります。
△L = WE + WD = 0.83 + 0.05 = 0.88%
実際にはこれに安全を見越して、循環水量の1.3~1.5%程度とします。
(参考)ブローダウン量 (WB)kg/h

空気中の汚染物質の量・補給水の水質・濃縮倍数などによって変わりますが、空調用の場合は一般に循環水量の0.3%程度が必要と言われています。

まとめ

小規模な冷却塔(クーリングタワー)について、飛散水量は468リットルと計算しました。
この量は水ではなく、大気中にエアロゾルという小さな粒子として浮遊します。

もし循環水にレジオネラ菌などの汚染物質が混入していた場合、市街に降り注ぐだけでなく、空調設備を通じて建物内にも感染が広がっていくでしょう。

循環水の管理にはメンテナンスが最重要です。
空研工業はメンテナンスの容易なクロスフロー方式の冷却塔(クーリングタワー)を採用し、水質管理の安全性をはかっています。

さらに設計検討が必要ではありますが、飛散水量を減らすために冷却塔(クーリングタワー)内にエリミネータや水飛散防止板を取り付けることも提案しています。

クロスフロー方式の冷却塔の導入なら空研工業

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