冷却塔(クーリングタワー)はメンテナンスが最重要であることを知っていますか?
メンテナンスには薬品洗浄も不可欠です。
冷却塔(クーリングタワー)のメンテナンス・薬品洗浄を欠かすとどんなトラブルが起こるのでしょうか。
ここでは、冷却塔(クーリングタワー)のメンテナンスやトラブルの防止対策をご紹介します。
冷却塔(クーリングタワー)の薬品洗浄とは
冷房用空調機に使われている冷却塔(クーリングタワー)は、10月頃から翌年の5月まで停止しているところがほとんどです。
休止期間中から稼働前に洗浄されても、稼働までの数週間、水槽に水を張ったまま放置されることもしばしばあります。
循環水は配管内で洗浄しても、無菌状態にはならず、放置すれば10日前後で洗浄前の状態に戻ってしまうという報告もあります。
そのため、定期的な薬品投入が必要なのです。
冷却塔(クーリングタワー)機能低下の3つの原因
冷却塔(クーリングタワー)は定期的に、薬品洗浄を含んだメンテナンスが必要です。
このメンテナンスを行わないと、冷却塔(クーリングタワー)の機能低下が起こります。
ここでは機能低下につながる主な原因を3つご紹介します。
原因1.目詰まりによる機能低下
まず、異物混入により冷却塔(クーリングタワー)の循環ポンプの羽根車が正常に回らなくなったり、摩耗して吐出量が少なくなったりします。
わずかな埃や塵の吸込みもメンテナンスをしなければ蓄積していきます。
それが送風機の風量低下の原因になります。
加えて、大気中の微生物や細菌、カビが土埃と共に冷却塔(クーリングタワー)内部に入り込むこともあります。
これが増殖して、循環水の出口や配管ラインでの、スケールやスライム・藻の発生につながるのです。
異物混入や、スケール、スライム、藻の発生。それが冷却塔(クーリングタワー)の様々な箇所で目詰まりを起こし、機能低下の原因になります。
スライムには、健康被害の原因になる物質が含まれている可能性が高く、メンテナンスの際には薬品洗浄で除去する必要があります。
原因2.経年劣化による故障
目視によるセルフメンテナンスで、清掃や洗浄することは冷却塔(クーリングタワー)のエネルギー効率を維持するために非常に重要です。
見える場所の破損も、定期的に目視していれば早期発見につながります。
しかし、中には分解洗浄や部品交換が必要になる場合も。
汚染物質が循環水に入り込むと、スライムなどの増殖が始まり除去するために薬剤の投入が必要になります。
異音や異常な振動は重大なトラブルの原因になる可能性があります。
異音や異常振動を確認した際には、すみやかに専門業者に連絡をしましょう。
特にVベルトは耐用年数が1年程度です。
ほかにも2年から7年程度の耐用年数の部品が数多くあります。
経年劣化による故障は、熱交換率が悪くなるなど、冷却塔(クーリングタワー)の機能低下につながります。
冷却塔(クーリングタワー)のメンテナンスは、年間で計画することがおすすめです。
原因3.腐食によるサビのなど発生
冷却塔(クーリングタワー)の設置場所によっては、腐食を原因としたサビが発生することがあります。
例えば、周囲に工場があり酸性ガスが混入してしまう場合。
交通量の多い場所では車の排気ガスが冷却水に溶け込んでしまうこともあります。
そして海に近い場所では、潮風が冷却水に溶け込み塩分濃度が高くなる場合もあるのです。
サビなどの腐食は、冷却塔(クーリングタワー)の強度低下につながります。
錆や腐食が確認された場合は、冷却水の入れ替えや薬剤の投入でメンテナンスを行う必要があります。
発生しうる2点の被害
冷却塔(クーリングタワー)の薬品洗浄を怠ると環境や健康に被害をもたらすことがあります。
その2例をご紹介します。
被害1.エアロゾルによる健康被害
冷却塔(クーリングタワー)で最も気を付けなければならないのは、汚染されたエアロゾルが大気中に散布されることです。
大気中の微生物や細菌は埃と共に冷却塔(クーリングタワー)内に入り込むことがあります。菌の増殖に最適なのは、水温37度から41度程度とされており、夏場は特に冷却塔(クーリングタワー)内が菌の増殖に最適な温度になるのです。
レジオネラ菌は、冷却塔(クーリングタワー)内で増殖しやすいことで問題にもなりました。
過去には、このレジオネラ菌を含んだエアロゾルが大気中に散布され、健康被害が発生したことが報告されています。
これにより、厚労省はこの感染防止対策を進めるべく、建物の衛生管理についていくつかの義務付けを行いました。
レジオネラ菌は、冷却塔(クーリングタワー)内のスライムの中で増殖しています。このスライムの除去、レジオネラ菌の殺菌のために薬品洗浄を行っています。
被害2.CO2排出による地球温暖化への影響
冷却塔(クーリングタワー)のメンテナンスを怠ると、気づかないうちに劣化や破損や目詰まりが発生し、通常よりも運転に大きなエネルギーを必要とするようになります。
つまり、電気代の高騰です。電気代が無駄にかかってしまうということは、経費の面でも大きな負担になります。
加えて、発電よる二酸化炭素の排出、地球温暖化にも影響していきます。
熱交換器の汚れにより、年間200万円電気代が無駄にかかってしまったという例もありました。
しかし、目に見える部分の高圧洗浄だけで運転のエネルギーが解消されるわけではありません。
冷却塔(クーリングタワー)内部の配管や、上部水槽内に藻やスライムによる目詰まりが発生している可能性があります。
循環水の汚染物質を除去するためにも高圧洗浄だけでなく薬品洗浄が必要です。
環境問題の観点からも、薬品洗浄を含めたメンテナンスは重要であるということです。
冷却塔内を見ると、「藻」や「スライム」「スケール」などがこびりつき、見た目にも汚いと感じることが多いのではないでしょうか…
冷却塔(クーリングタワー)を汚染させないための2つの防止策
冷却塔(クーリングタワー)は建築物衛生法により、適切に衛生管理を行うよう義務付けられました。
特に、「建築物等におけるレジオネラ症防止対策について」で、各自治体に対し指導がなされています。
この内容は主に設計・施工の観点と、薬品洗浄を主とした維持管理の観点による感染症防止策です。
対策1.設計・施工での防止策
設計・施工での感染防止対策の基本の考えとしては、まず冷却塔(クーリングタワー)の構造を清掃しやすい形にすることが挙げられます。
特に、冷却塔(クーリングタワー)の型式を検討する際には、直交流型(クロスフロー)型を採用することが望ましいとされました。
そして、エリミネータの強化。
このエリミネータとは、空気の流れによる水滴の飛散を防ぐ装置のことです。
エリミネータの強化によって、仮に気流中に汚染物質が混入しても飛散を防止しようという対策です。
次に冷却塔(クーリングタワー)の設置場所についてです。
冷却塔(クーリングタワー)の設置場所は、自動車の排気ガスなどの影響が出ない建物の高所や、風向きも考慮した場所に設置することが定められました。
加えて、エアロゾル飛散の観点から、冷却塔(クーリングタワー)は窓や空調の外気取込口から10メートル以上離して設置することも求められています。
対策2.薬品洗浄による防止策
「建築物等におけるレジオネラ症防止対策について」では、維持管理についてもいくつか指導されています。
まず、冷却塔(クーリングタワー)の使用開始及び使用期間中は毎月1回、定期的に冷却塔(クーリングタワー)と冷却水の汚れの状況を点検することが必要です。
そして状況に応じて、冷却塔(クーリングタワー)の清掃や換水等を実施します。
清掃・完全換水は必要に応じてだけでなく、1年に1回以上の実施が必要です。
加えて、スケールやスライムを除去するだけでなく、薬品洗浄も必要であるということも謳っています。
先に述べたように、循環配管内は清掃しても、放置すれば10日ほどで元の状態に戻ってしまう、という報告もされていますので、毎月1回の点検は大変重要です。
「更に必要に応じて、殺菌剤等を冷却水に加えて微生物や藻類の繁殖を抑制すること」という管理指針です。
殺菌剤等の薬剤はレジオネラ、スケール・腐食防止、スライム防止のために注入します。
そして、建物によって感染因子を点数化し、必要に応じた回数のレジオネラ菌の検査の実施も指導されています。
まとめ
冷却塔(クーリングタワー)の薬品洗浄は、冷却塔(クーリングタワー)汚染防止と共に、省エネと冷却塔(クーリングタワー)本体の延命対策としても有効です。
空研工業では、薬品洗浄だけでなく、冷却塔(クーリングタワー)のメンテナンスにおいて専任のスタッフを置きメーカーを問わずに対応しております。
目視によるセルフメンテナンスは大変重要ですが、専門スタッフによる細かなケアによりさらに安全で快適な空調環境づくりが叶います。
冷却塔(クーリングタワー)の無料点検も実施しておりますので、お気軽にご相談ください。