冷却塔は冬にこそメンテナンスすべき理由!安定稼働に向けた対策とは?

冷却塔(クーリングタワー)は、冷却水の熱を逃がすための重要な設備です。
ビル空調には欠かせないものですが、水を利用する以上、衛生的な維持管理が欠かせません。

ここではシーズンオフにあたる冬にすべき、冷却塔のメンテナンスについて紹介します。

冷却塔(クーリングタワー)のメンテナンスとは

冷却塔(クーリングタワー)は、ビル空調を支える重要な設備です。
仕組みは水の気化熱を利用して冷却水の温度を下げるというもので、開放式と密閉式の2つのタイプがあります。

開放式では冷却水を外気に直接触れさせて水を冷やすため、ほこりや落ち葉などで汚れやすく、さまざまな障害も起きやすいため水質管理が重要となります。

一方で密閉式は外気と冷却水が直接接触しないため、冷却水が汚れにくいというメリットがあります。

ただし、冷却水が通る管を冷やす散布水は外気と接触しますので、こちらの水質管理を怠ると障害が起きてしまいます。

こうしたことから、冷却塔はこまめなメンテナンスが欠かせない設備でもあります。
しかし、冷房シーズンにはビル空調がフル稼働となるため、そう頻繫に稼働を止めるのは難しい事情もあるでしょう。

そのため冷房シーズン前とシーズン後は時間をかけたメンテナンスの時間に充てることができるため、まさに冬場は気になっていた部分の点検も含めて、しっかりとしたケアが可能な時期であると言えます。
具体的には内部の清掃と設備点検となりますが、開放式と密閉式とでは対策が異なります。

開放式の冷却塔の方が設置比率が高いため、ここでは開放式の対策について説明します。

冷却塔(クーリングタワー)をメンテナンスしなければならない3つの理由

冷却塔(クーリングタワー)のメンテナンスは清掃と点検に尽きますが、なぜ行わなければならないのか理由を解説します。

冷却塔は決して複雑な仕組みではないのですが、規模が大きくさまざまな専用パーツから成り立っています。
その一つひとつが正しく稼働していないと、期待されるパフォーマンスを発揮できないどころか、余計なコストがかかってしまいます。

冷却塔は設置すればそれで終わりという設備ではなく、継続して運用し続けなければならない、生きた設備であることを認識する必要があります。

理由1.スケール障害対策

スケール障害というのは、冷却水に含まれるマグネシウムやカルシウムなどがスケール化することで発生する障害です。

発生したスケールは冷却塔内部のあらゆる部分(特に充てん材)にこびりつき、熱交換効率を下げ安定稼働を妨げます。

理由2.スライム障害対策

スライム障害とは、大気中から混入するバクテリア、藻などが生成する粘質物と土砂などが混ざって形成される泥状の汚れです。

水温30℃~40℃程度を好むため冬より夏に発生しやすく、内部に付着して稼働を低下させたり腐食を発生させたりします。

スライムを育成させないのと同時に薬剤などを使用して粘質物を取り除き、濃縮管理を行うなどして水質を管理するメンテナンスが欠かせません。

理由3.レジオネラ症感染対策

冷却塔はレジオネラ属菌が繁殖し、レジオネラ症(感染症)の発生源となる可能性があります。

レジオネラ属菌は土壌や池など自然界に棲息するため、大気の塵などから混入することが考えられます。
冷却水温が繁殖に適した温度になり、前述したスライムが発生すると、よりレジオネラ属菌の増殖が助長されると考えられるのです。

発生防止には設備管理が非常に重要となり、除菌剤や清掃によって属菌の繁殖を抑える対策が欠かせません。

もちろんビル衛生管理法にも具体的な措置があり、上水を補給水とすることや1ヶ月に1度の定期点検、1年ごとの定期清掃が義務付けられています。

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トラブルを避けるためのメンテナンス対策2点

たかが清掃、たかが点検と軽く考えることなく、必要なメンテナンスは必要な時期に行うことが重要です。

シーズンオフにあたる冬場はメンテナンスに最適な時期ですし、逆に冬場だからこそしなければならないこともあります。
冷却塔(クーリングタワー)のトラブルを避けるためにすべきメンテナンス対策を紹介します。

対策1.業者による清掃と点検

1ヶ月に1度の清掃はセルフ清掃で行うこともできます。
セルフであればホースとデッキブラシ、あれば家庭用の高圧洗浄機で簡易的な清掃が可能です。

ただ冬期には専門の業者に依頼して、清掃と同時にパーツの点検も行うことをおすすめします。
セルフ清掃では充てん材の清掃はできませんので、それもあわせて依頼してください。

冷却塔には定期交換が必要なパーツがいくつかあります。
これらが経年劣化すると、オンシーズン真っただ中に急な運転停止を起こさないとも限りません。

計画的な交換や修理が必須ですので、ぜひ冬にこそ計画しましょう。
定期的に交換が必要な主なパーツは、モーター(耐用年数7年)、翼車(耐用年数5年)、Vベルト(耐用年数1年)です。

交換や補修を行うことで冷却能力の回復を見込めますので、無駄な消費電力の発生防止のためにも実施しましょう。

対策2.凍結対策

冷却塔は、冬期に連続運転するか、断続運転(夜間停止など)するか、運転停止するかによって対策が変わります。

基本的に連続運転であれば特別な対策は必要ありませんが、止める場合には下部水槽にヒーターを取り付け、凍結予防をするのが一般的です。

密封式の場合は不凍液を循環水に注入するか、不可能な場合は凍結防止ユニットなどを取り付けます。
状況によっても判断が変わりますので、業者に相談することをおすすめします。

まとめ

冷却塔(クーリングタワー)は、シーズンオフとなる冬期こそ、徹底したメンテナンスをするのに最適です。
専門知識を持つ業者による定期的な清掃と点検は、設備の安定稼働とコストの削減、トラブル予防に大きな力となりますので、計画的に実施しましょう。

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