角型冷却塔と丸型冷却塔の構造と特徴の違いを解説!

ビルや大型施設、工場などの空調設備を導入する際には、冷却塔(クーリングタワー)が必要になるということをご存知の方も多いと思います。
本記事では冷却塔の種類、特に丸型と角型の違いを中心にご説明します。

冷却塔(クーリングタワー)の種類にはどのようなものがあるのか

水冷式の冷却塔(クーリングタワー)は、冷凍機で温められた冷却水を気化熱を利用して繰り返し冷却する設備です。(これ以降「水冷式」という文言は省きます。)
冷却塔を効率よく稼働させるために、設計段階でどのような冷却塔が必要なのか詳細に確認しておく必要があります。

冷却塔には冷却水を冷やすための仕組みとして、開放式と密閉式の2つがあります。
また、冷却塔の形でいえば丸型冷却塔と角型冷却塔の2つがあり、水と空気の接触方式の違いでカウンターフロー方式とクロスフロー方式があるのです。

冷却塔の導入なら空研工業

冷却塔(クーリングタワー)の役割

冷却塔(クーリングタワー)は、前述しましたように冷凍機で温められた冷却水を繰り返し冷やす機械です。

冷凍機は使用し続けていると冷却水の温度が上昇してしまい、冷水をつくるという冷凍機の役割を果たすことができなくなってしまいます。
そのため、冷却塔で冷却水を冷やし、再び冷凍機へ送る必要があるのです。

冷却塔(クーリングタワー)の仕組み

冷却塔(クーリングタワー)は、気化熱の原理を利用して冷却水を冷やしています。
例えば、夏のお風呂上がり、肌や髪が濡れた状態で扇風機の風を浴びるとひんやりと涼しくなりますよね、この現象と冷却塔の原理は同じです。
水分が蒸発する際に残りの水分の熱を奪っていくため、ひんやりと感じるのです。

冷却塔では上部水槽から充てん材へ散水された冷却水が外気と接触することで蒸発し、残りの冷却水が冷却されるのです。
1%の水が蒸発すると残りの99%の水は約6℃冷えると言われています。

この気化熱の原理を使って冷却水を冷やす仕組みとして、冷却塔では開放式と密閉式の2つの方法が用いられています。
開放式は冷却水と外気を直接接触させて冷却しています。
一方、密閉式は散布水と呼ばれる水が外気と接触し蒸発する際に、銅管コイル内を流れる冷却水の熱を奪い水温を下げています。

冷却塔(クーリングタワー)の形による違いとは

冷却塔(クーリングタワー)には、形で言えば角型と丸型の2つの形があります。
この形の違いは、冷却水と外気の接触方法の違いが関係しているのです。

角型冷却塔の外気と冷却水の接触方法は直交流型(クロスフロー方式)が多く採用されています。
水を上から散水し、空気を横から直角に当てて接触させる方法です。
しかし、角型では向流型(カウンターフロー方式)も可能です。
上から散水される水に対して、空気を下から接触させる方法です。国内ではあまり見かけませんが東南アジアではよく見られます。
更に角型冷却塔では前述した、熱交換方式の違いによる開放式と密閉式の両方の方式が利用できます。

それに対し、丸型冷却塔の外気と冷却水の接触方法は向流型(カウンターフロー方式)のみに限定されます。
繰り返しになりますが上から散水される水に対して、空気を下から接触させる方法です。
水と空気の接触方式も丸型冷却塔は主に開放式が採用されています。

角型冷却塔の構造と特徴

クロスフロー方式の角型冷却塔は冷却水に対して横から外気を接触させるため、充てん材の前面に外気を誘引するためのルーバーが取り付けられています。
送風機によって取り込まれた外気は充てん材を通過し、冷却水から熱を奪った後、上方へ吸い上げられ排出されます。

クロスフロー方式の角型冷却塔はカウンターフロー方式の丸型冷却塔に比べると、構造上飛散による冷却水の損失量が少なくなっています。
カウンターフロー方式の角型冷却塔は上から見た断面が四角になっているだけで散水装置や下部に外気を取り入れるための隙間などは丸型冷却塔と同じになりますので、そちらで説明します。

角型は丸型と比較して冷却塔同士の連結が可能であり、四角い建物が多いので納まりが良いことが特徴としてあげられます。
また、送風機の下部が広く空いていますのでメンテナンスが行いやすいというメリットがあります。

丸型冷却塔の構造

一番の特徴はFRP(強化プラスチック)で本体、下部水槽、送風機が製作可能であることです。
柱・梁といった構造材がほとんどありません。

塔体上部には冷却水を充てん材に散水するための散水装置(散水パイプ)が取り付けられています。
それに対し、クロスフロー方式の角型冷却塔は上部の水槽の底に開けられた無数の小さな穴から冷却水が散水されます。
また、丸型冷却塔には外気を下から冷却水に接触させるために塔体の下部には全周に隙間(ルーバー)が設けられています。

丸型冷却塔の特徴

丸型冷却塔の特徴は前述のように構造の簡略化が可能であるため、角型冷却塔と比べると価格を安くできるという点です。

しかし、その構造上、充てん材を通り過ぎた冷却水が水槽に直接落下するので、塔体の下部にある隙間(ルーバー)からの飛散水量が多くなってしまいます。

まとめ

冷却塔(クーリングタワー)の形には角型と丸型の2種類あり、角型と丸型の違いは水と空気の触れ合い方の違いだけと考えがちですが、それだけではないことがわかったかと思います。

角型と丸型それぞれの冷却塔の構造や特徴を踏まえた上で、最適な機種の選定を行いましょう。

冷却塔の導入なら空研工業