冷却塔(クーリングタワー)の内部に藻が発生しているのを見たことがある人は多いのではないでしょうか。
藻を放置すれば、冷却能力の低下を引き起こします。
その結果、冷凍機の電力量がアップし、電気料金が上がるなど経済的な被害を受ける場合もあるでしょう。
本記事では冷却塔の内部に発生する藻に関する、原因や被害、対策方法をご紹介します。
是非参考にしてみてください。
冷却塔(クーリングタワー)の藻とは
藻とは一体何でしょうか?
観賞魚を飼育された経験がある方は「あれか!」とすぐにお分かりになるかもしれません。
読み飛ばしていただいて構いませんが、藻の定義は「酸素発生型光合成を行う生物の内、主に地上に生息するコケ植物、シダ植物、種子植物を除いたものの総称である。」となっています。
これでは難しすぎるので、粗っぽいですが「水があり、太陽光が当たると発生する緑色のもの」と理解してください。
そう理解すると冷却塔(クーリングタワー)の設置場所や循環している冷却水の温度など、藻が発生する条件にピッタリ当てはまります。
冷却水にはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルや外気に混ざって侵入するバクテリア(雑菌類)など、藻が増殖するのに必要な栄養分がたくさんあるということになります。
その上、太陽光も降り注ぎます。
冷却塔(クーリングタワー)に藻が発生し、繫殖する原因
気が付いたときには、いつの間にか藻が繁殖していることは多いのではないでしょうか。
金魚鉢を思い出してください。
最初はきれいな水と生息しやすいように入れた水草の間を泳ぎ回る魚が見えたはずです。
しかし、いつの間にか鉢のガラスに緑色のものが付き始め、魚が泳いでいる姿が見えにくくなっていきます。
この正体が「藻」です。
それでは冷却塔(クーリングタワー)に藻が発生し繁殖する原因とは何でしょうか。
色々な原因が考えられますが、大きく二つに分けることができます。
それぞれの原因について、以下で分かりやすく説明していきます。
原因1.光合成に最適な環境
冷却塔は空調用の場合、ほとんどが屋上に設置されています。
屋上でない場合も屋外に設置されます。
つまり、お天道様=太陽の下で冷却水を冷やし続けています。
もちろん雨の日もありますが、藻が繁殖するには好条件となっています。
その上、冷却水の温度はおおよそですが35℃前後です。
最適な環境と言っても過言ではありません。
原因2.水質の富栄養化
冷却塔は水が蒸発するときに発生する蒸発潜熱を利用して、冷却水を冷やしています。
その蒸発を促進するために送風機で外気を誘引し、冷却水と接触させています。
そのため、外気に含まれて冷却塔内に色々なバクテリア(雑菌類)が持ち込まれます。
さらに冷却水や補給水は様々なミネラルを含んでいます。
冷却塔の運転を続けていけば、その濃度は高くなっていきます。
これは言い換えれば、藻の繫殖に必要な栄養が増えていくことになります。富栄養化と言えます。
冷却塔(クーリングタワー)の藻により発生しうる被害
藻が発生し繁殖すると、どんな被害を受ける可能性があるのでしょうか。
藻は植物ですので、放置すれば増殖を繰り返します。
増え続けた藻から受ける被害には、以下の2つが考えられます。
- 冷却能力の低下
- 健康被害の可能性
それぞれについて、詳しく解説します。
被害1.冷却能力の低下
冷却塔(クーリングタワー)を使用している場合、藻による最大の被害は冷却能力の低下かもしれません。
前述の通り、藻は一度発生すると増殖を繰り返します。
その結果、上部水槽の散水用の穴を塞いでしまい、水の流れを阻害します。
さらに進むと冷却塔の上部から冷却水が溢れてしまいます。
また空気が流入する場所で増殖すると必要な空気量を吸込むことができなくなります。
その結果、冷却能力の低下につながり、最終的に電力量を多く使用するようになります。
消費電力量が多くなると、電気料金も高くなるため、必要以上に経費を支払うことになるでしょう。
被害2.健康被害の可能性
藻の大量発生に伴い、スライムが増え、そこにはバクテリアが住み着くことになります。
その結果、異臭が発生したり、有害物質が空気中に飛散することで健康被害が発生する可能性も考えられます。
藻が直接の原因とは言えませんが、バクテリアの温床になる可能性が高いということを意識しておく必要があります。
冷却塔(クーリングタワー)に藻を発生させないための対策
冷却塔(クーリングタワー)の藻の発生原因や被害について解説してきましたが、これらの被害を受けないために対策が必要です。
どんな対策が効果を期待でき、経済的・衛生的に適切な環境を維持しやすいのかを解説します。
具体的な対策方法は、以下のようになります。
- 上部水槽に蓋をする
- 専用の薬品(殺藻剤)を使用する
- 定期的な清掃を行う
- 水質管理を行う
それぞれについて、簡単に解説します。
対策1.上部水槽に蓋をする
上部水槽の蓋が直射日光を遮ることで、光合成を阻害し藻の発生を抑えることができます。
この対策は上部水槽の藻の繁殖を抑えるための限定的な対策として理解しておくようにしましょう。
上部水槽カバーについてはこちらの記事をご参照ください。
対策2.専用の薬品(殺藻剤)を使用する
冷却塔は、ビルや工場などの幅広い場所で使用されています。
そのため、多くの水処理メーカーでは冷却塔の藻に対抗するための薬品を作り出しています。
多くの薬品は、冷却塔内部に入れるだけという手軽さで、殺藻剤・防藻剤と呼ばれています。
もちろん、藻の発生状況でよってどれが一番効果的か検討する必要があります。
その際はご遠慮なく空研工業へお尋ねください。
対策3.定期的な清掃を行う
上部水槽に蓋をすることや殺藻剤を投入することで効果はありますが、完全に除去することは困難です。
特に上部水槽以外では殺藻剤の効果が薄まればその勢いを増していきます。
その点でも定期的な清掃はとても有効です。
是非、計画的に実施してください。
対策4.水質管理を行う
最後になりますが、継続的に藻の発生を抑えることももちろん重要ですが、濃縮管理を含む水質管理が重要です。
このことで、富栄養化にも対応できますしスライム・スケール・腐食も防止することができます。
まとめ
冷却塔(クーリングタワー)の藻は、いつの間にか増殖しています。
定期的に藻を取り除く努力をしなければいけないでしょう。
その努力を怠ったとき、おそらく藻はそれを感知し、増殖を始めると思います。
少しオカルト的な表現をしてしまいましたが、藻が有機的にバクテリアやスライムなどと結びつき、その結果多くの被害を生み出します。
藻の対策方法として4点お示ししました。
予算に合わせて効果のある藻の対策を行いましょう。
空研工業はいつでもお手伝いいたします。お気軽にお声がけください。