冷却塔のカルシウムスケールとは?その原因と対策方法を解説

冷却塔は、温められた冷却水を冷やすことで繰り返し使用できるようにする装置です。
しかし、その原理や仕組みから汚れなどが溜まりやすい構造となっています。

本記事では、カルシウムスケールが発生する原因や、引き起こされる被害、対策などを解説していきます。

冷却塔(クーリングタワー)とカルシウムスケールとは

冷却塔の役割や、カルシウムスケールがどんなものかわからない方もいるかもしれません。
はじめに冷却塔はどのようなものか、カルシウムスケールとはどのようなものなのか詳しく見ていきましょう。

冷却塔(クーリングタワー)とは

冷却塔は『クーリングタワー』とも呼ばれ、商業施設やオフィスビルの屋上などに設置されています。
空調設備で使用されることが多く、冷凍機の凝縮工程で使用される冷却水を繰り返し冷やすために冷却塔は使われています。

もちろん、空調設備だけではありませんがここでは省きます。

ご存知かとは思いますが、冷却塔では外気と水を触れさせ、水が蒸発する際に周りの熱を奪う気化熱の原理で冷却水を冷やしています。

カルシウムスケールとは

「スケール」と入力して検索してみると、色々な内容が出て来ます。
「測定器具」が一番なじみがあるかもしれません。その他、「大きさの程度」などもあります。
あの人は「スケールが大きい」といった具合に使います。今回の「カルシウムスケール」は5番目位に出て来ます。

「水の中に融けているカルシウムなどがボイラーの内側に固着したもの」、湯垢(ゆあか)とも書いてあります。身の回りにも湯垢はありますね。
水栓器具はクロムめっきが施されていますが、使っているうちに白く汚れてくることはありませんか?

ということで、今回は「スケール」の代表選手として「カルシウムスケール」を取り上げました。
その理由としてカルシウムは特に強固な塊になりやすく、金属に付くと取れにくいという性質があるからです。
汚れを落とそうとしても、固着したスケール類はほとんど落ちません。水栓器具の水垢も中々落ちないことは経験済みかもしれません。

スケールについてはこちらの記事をご参照ください。

冷却塔大学

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冷却塔(クーリングタワー)はスケールが付着しやすい

カルシウムスケールをはじめ、冷却塔(クーリングタワー)の中はスケールが付着しやすいということを覚えておいたほうがいいでしょう。
冷却水の中にカルシウムを初めとする「ミネラル」と呼ばれるものが含まれています。カルシウムの他に「マグネシウム」「シリカ」「鉄さび」などが該当します。

また、冷却塔内、特に開放型は冷却水と外気が直接触れ合うため微生物や空気中の汚れなどが入ってきてしまいます。
しかし、密閉型も冷却水は間接的でも散布水が直接外気と触れ合いますので例外ではありません。

カルシウムスケールなどのスケール類が最も強固な汚れとなってこびりつきます。ただ、微生物も固体表面に付着しやすいため、気を付けなければなりません。

冷却塔(クーリングタワー)の中にカルシウムスケールができてしまう原因

含まれる量が少量であれば水の中にカルシウムなどの成分も溶け込んでしまうため、必ず強固な汚れとなって発生するわけではありません。

しかし、冷却塔(クーリングタワー)が連続運転し、結果として水の濃縮が進むと、カルシウムの濃度が濃くなってしまいます。
カルシウムの濃度が濃くなってしまうと溶けきれず、冷却塔内や配管の中でカルシウムスケールとして堆積してしまいます。

冷却塔の大切な部分にこびりつき、性能が低下する原因になってしまいます。

カルシウムスケールにより発生しうる被害

カルシウムスケールが増えて汚れが取れなくなると、熱交換がうまくできなくなってしまいます。
一番気を付けなければならないことは主機である冷凍機の冷却水が通る熱交換器の管の内側にスケールが堆積することです。

熱が上手に移動しなくなり、熱伝導も悪くなってしまいエネルギーを必要以上に使用してしまいます。
エネルギーを多く使うとコストが高くなり、地球環境にも悪い影響を与えます。

付着しているものが多ければ、それに比例して熱交換効率が下がります。
カルシウムスケールの付着に気付いたら早めに解決するようにしましょう。

カルシウムスケールを抑える2つの対策

少しでもカルシウムスケールを始めとする「スケール類」を増やさないようにすることが大切です。
どんな対策ができるのかチェックしておきましょう。

対策1.ブロー装置と薬剤を使用する方法

ブロー装置と薬液注入装置の併用が効果的です。定期的な薬注タンクへの薬品投入が必要ですが、効果を維持することができます。
タイマー制御や補給水流量比例制御などを上手に利用することで、薬剤費を抑えることが可能になってきています。

ケースに応じた最適な商品について、詳しくはメーカーにお問合せください。

対策2.軟水器やろ過器で対策

軟水器やろ過器はカルシウムスケールをはじめ、他にもスケールとして発生しやすい成分を抑えることができるため、きれいな冷却水を使うことができます。

これまで悩みとなっていたスケールが発生しない分楽にはなりますが、対策の中でも特に高いコストがかかるため、費用を抑えたい方には不向きかもしれません。
定期的に交換しなければならないため、ランニングコストがかかります。

目的や管理レベルを明確にして専門メーカーに相談されることを推奨します。

まとめ

冷却塔(クーリングタワー)は水を循環させ、補給を行いながら効率よく運転しています。

冷却塔は冷却水の一部を蒸発させ気化熱を利用して冷やすため濃縮が起こり、カルシウムなどの濃度が高くなりスケールとなって析出してしまいます。
こびりつくと落ちにくく、さらには熱交換も上手にできなくなり、エネルギーコストも高くなってしまいます。

今回ご紹介した対策を踏まえて、カルシウムスケールを含めた「スケール類」の発生を防ぎましょう。

カルシウムスケールの対策なら空研工業